大雨で水没した車を修理せず、廃車にすることにした。
そこで気になるのが、
「すでに払った自動車税や車検時の税金は戻る?」
「自賠責も残り期間分が返ってくる?」
という点です。
水没車を廃車にすると、条件を満たせば、
普通車などの登録車なら自動車税。
普通車・軽自動車ともに自動車重量税。
普通車・軽自動車ともに自賠責保険料。
が戻る可能性があります。
ただし、3つは同じ仕組みではありません。
自動車税は抹消登録。
重量税は解体と還付申請。
自賠責は保険会社への解約。
がそれぞれ必要です。
「水没した日から残り期間分がまとめて返ってくる」と考えないことが重要です。
まず普通車と軽自動車で違う
廃車時のお金で最初に分けたいのは、普通車などの登録車と軽自動車です。
| 項目 | 普通車などの登録車 | 軽自動車 |
|---|---|---|
| 自動車税・軽自動車税 | 抹消後に月割還付あり | 年度途中の月割還付なし |
| 自動車重量税 | 条件を満たせば還付 | 条件を満たせば還付 |
| 自賠責保険 | 条件を満たせば解約返戻金あり | 条件を満たせば解約返戻金あり |
つまり、
「軽自動車は税金が何も戻らない」
わけではありません。
軽自動車税には年度途中の月割還付がありませんが、重量税と自賠責は別に確認します。
普通車の自動車税は抹消した翌月以降が戻る
普通車などの登録車にかかる自動車税は、年度途中で抹消登録すると、抹消した月まで課税され、翌月から翌年3月までの分が月割で還付されます。
例えば7月に抹消登録した場合は、8月から翌年3月までが還付対象です。
ここで重要なのは、
水没した日。
レッカーされた日。
廃車業者へ渡した日。
ではなく、
実際に抹消登録された月
が基準になることです。
9月に水没した車をすぐ業者へ渡しても、抹消登録が11月になれば、自動車税の還付対象は12月以降になります。
廃車を業者へ任せる場合は、
「何月に抹消登録される予定ですか」
まで確認しておくとよいでしょう。
水没車を売っただけでは自動車税の月割還付にならない
水没車に値段が付き、買取業者へ売却することもあります。
ただし、
売却=自動車税還付
ではありません。
中古車として別の人へ名義変更されるだけなら、年度途中の自動車税は元の納税義務者に1年分課税され、都道府県からの月割還付はありません。
一方、車が抹消登録されれば翌月以降分が還付対象になります。
そのため買取業者には、
「この車は名義変更ですか、それとも抹消登録しますか」
と確認します。
業者独自に未経過分相当額を査定へ上乗せする場合もありますが、それは都道府県からの税還付とは別の話です。
自動車税は全国共通の基本ルールでも受取方法は都道府県で確認する
自動車税は都道府県税です。
抹消登録後の月割還付という基本的な仕組みは共通していますが、
還付通知が届く時期。
口座振込の方法。
還付金の受取方法。
未納税金がある場合の充当。
第三者へ還付金を受け取らせる場合の手続き。
などの実務は、登録地を管轄する都道府県の案内を確認してください。
全国向けの記事では、
「○○県ならこの方法」
と固定するのではなく、
登録地の都道府県税事務所・自動車税担当で確認する
のが正確です。
軽自動車税には年度途中の月割還付がない
軽自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に1年分が課税されます。
普通車の自動車税と違い、年度途中で廃車しても月割還付はありません。
例えば5月に水没して廃車しても、その年度の軽自動車税の残り11か月分が戻る仕組みではありません。
12月に廃車しても同じです。
ただし、翌年4月1日までに廃車手続きが完了していれば、原則として翌年度分は課税されません。
軽自動車では、
「今年払った税金を取り戻す」
より、
翌年度まで課税を残さないために廃車手続きを終わらせる
と考えた方が分かりやすいでしょう。
なお、軽自動車税は市区町村税なので、個別の課税状況については車両の定置場がある市区町村へ確認します。
2026年から税金の名称が変わっている
2026年4月1日から、全国的な制度改正で税金の名称が変わっています。
以前の「自動車税種別割」は「自動車税」。
以前の「軽自動車税種別割」は「軽自動車税」。
となりました。
検索すると古い記事には「種別割」という名称が残っていますが、現在の記事では新しい名称を基本にします。
なお、2026年3月31日まで存在した自動車税・軽自動車税の環境性能割も廃止されています。
水没車の年度途中の廃車で問題になるのは、毎年所有者へ課税される現在の自動車税・軽自動車税です。
自動車重量税は普通車でも軽自動車でも戻る場合がある
自動車重量税は、車検時などにまとめて納付している国税です。
廃車時に車検期間が残っていれば、一定条件を満たすことで未経過期間分の還付を受けられます。
これは普通車だけではありません。
軽自動車も対象です。
ただし、自動車税のように、
「登録を止めたから残りが戻る」
わけではありません。
重量税には別の条件があります。
一時抹消しただけでは重量税は戻らない
重量税の還付には、自動車リサイクル法に基づいて車が適正に解体されることが必要です。
普通車などの登録車なら、
解体を理由とする永久抹消登録。
または、一時抹消後の解体届出。
軽自動車なら、
解体返納。
または、一時使用中止後の解体届出。
などの手続きへ進みます。
「しばらく使わないので一時的に登録だけ止める」
という段階では、通常の重量税廃車還付は受けられません。
重量税は車検が1か月以上残っているか確認する
通常の廃車還付制度では、車検残存期間が1か月以上あることが条件です。
還付額は、
納付した重量税額。
車検の有効期間。
廃車時に残っている車検期間。
によって計算します。
考え方は、
納付済み重量税額 × 車検残存期間 ÷ 車検有効期間
です。
例えば、国税庁が示す例では、
納付済み重量税24,600円。
車検残存期間5か月。
2年車検。
なら、還付額は5,125円となります。
車検満了間近なら、還付がない場合もあります。
重量税の還付は解体手続きと同時に申請する
重量税で特に注意したいのが申請のタイミングです。
還付申請は、
永久抹消登録。
または解体届出。
などと同時に行うのが原則です。
先に廃車手続きを全部終わらせてしまい、
「重量税の申請を忘れていたので後から申請したい」
としても、原則として還付申請だけを後から行うことはできません。
業者へ依頼する場合は、車を渡す前に、
「重量税の還付申請も行いますか」
「還付金は誰が受け取りますか」
まで確認します。
水没車には自然災害の重量税特例が使える場合がある
水没車には、通常の廃車とは別に確認したい制度があります。
一定の自然災害によって使用できなくなった車については、自動車重量税の特別な還付制度があります。
対象になるのは、暴風・豪雨・洪水・高潮・地震・津波などのうち、被災者生活再建支援法が適用される災害です。
すべての局地的大雨や道路冠水が自動的に対象になるわけではありません。
対象災害で車検期間中の車が被災し、永久抹消登録等を行った場合には、
災害発生日から車検満了日まで
の期間を基準として重量税の還付を受けられる場合があります。
この自然災害制度では、災害発生日から5年以内に手続きを行うこととされています。
大規模水害で車が使用不能になった場合は、通常の廃車還付だけでなく、この制度の対象かも確認してください。
特例対象外の大雨でも通常の重量税還付は確認できる
自然災害の特例対象でなければ重量税が一切戻らない、という意味ではありません。
特例対象外の水没車でも、
自動車リサイクル法に基づいて適正に解体される。
車検残存期間が1か月以上ある。
永久抹消・解体届出と同時に還付申請する。
という通常の条件を満たせば、重量税還付の対象になる可能性があります。
つまり重量税は、
通常の廃車還付。
自然災害時の特例。
を分けて確認します。
自賠責は廃車だけでは自動解約されない
自賠責は税金ではなく、強制保険の保険料です。
廃車手続きを終えただけで、保険会社が自動的に残り期間分を振り込んでくれるわけではありません。
廃車を確認できる書類がそろったら、加入している損害保険会社などへ自賠責の解約を申し込みます。
必要になる書類は保険会社によって確認しますが、
自賠責保険証明書。
廃車を確認できる書類。
本人確認書類。
振込先情報。
などを求められるのが一般的です。
現在はWebで解約できる保険会社もあります。
自賠責は解約を後回しにすると戻る金額が減る
自賠責の返戻額は、解約日から保険期間満了までの未経過期間によって変わります。
例えば東京海上日動では、必要書類をそろえてWeb申請し、保険会社が受け付けた日が解約日になります。
つまり、
廃車した日。
水没した日。
車を業者へ渡した日。
まで自動的にさかのぼってくれるとは限りません。
廃車書類がそろったのに自賠責の解約を数か月放置すると、その分だけ返戻額が減る可能性があります。
また、保険期間が1か月未満しか残っていない場合は、解約返戻金が発生しない取扱いがあります。
廃車が終わったら自賠責の解約も続けて進める方がよいでしょう。
自賠責は残り月数を単純に割れば金額が出るわけではない
自賠責を24か月契約していて12か月残っているから、
「払った保険料の半分が戻る」
とは限りません。
解約返戻金は、
車種。
契約した時期。
保険期間。
解約時点の未経過期間。
などによって決まります。
正確な金額は加入先の保険会社へ確認してください。
廃車買取業者を使うなら還付金の内訳まで確認する
水没車では、自分で廃車手続きをするより廃車買取業者へ依頼することもあります。
この場合は、
「買取額5万円」
という数字だけを見ない方がよいでしょう。
業者によって、
自動車税は所有者へ別途還付。
重量税相当額を査定に含める。
自賠責は所有者自身が解約する。
還付金の受取権を業者側へ移す。
など扱いが違います。
契約前に、
「この買取価格に、自動車税・重量税・自賠責の未経過分は含まれていますか」
と確認します。
「査定額+還付金」と思っていたら、実際は還付相当額込みの査定だった、という計算違いを避けられます。
水没車を中古車として売るなら重量税は戻らない
水没車でも状態や車種によっては、中古車・部品取り・輸出向けとして売却される場合があります。
通常の重量税廃車還付制度は、自動車リサイクル法に基づいて適正に解体された使用済自動車が対象です。
単に中古車として売却した場合は還付対象になりません。
海外へ輸出された場合も通常の廃車還付制度の対象にはなりません。
そのため、
「この車は売却後に解体されますか」
「中古車・輸出として流通しますか」
「重量税還付の対象になりますか」
を確認します。
全国記事では「還付方法」は所在地ごとに確認する
自動車重量税は国税なので、国税庁の制度が全国共通です。
自賠責も保険制度そのものは全国共通ですが、具体的な申請方法は契約している保険会社で確認します。
一方、
自動車税は都道府県税。
軽自動車税は市区町村税。
です。
そのため全国記事では、
「○○県では郵送されます」
「○○市ではこの窓口です」
とは固定しません。
自分の場合は、
普通車などの自動車税なら登録地の都道府県。
軽自動車税なら定置場の市区町村。
へ確認します。
水没車の廃車では3つを別々に確認する
水没車を廃車にしたとき、
普通車などの登録車なら自動車税。
普通車・軽自動車ともに重量税。
さらに自賠責保険料。
が戻る可能性があります。
ただし基準はそれぞれ違います。
自動車税は、抹消登録した月。
重量税は、解体と還付申請。
自賠責は、保険会社へ解約した日。
軽自動車税には年度途中の月割還付はありません。
さらに一定の大規模自然災害による水没車なら、重量税について災害発生日を基準とする特例が使える場合があります。
廃車業者へ任せる場合も、
「税金は戻ります」
だけで終わらせず、
何が、いくら、誰に、いつ戻るのか
まで確認してください。
そこまで確認して初めて、水没車を廃車にした後の本当の手取り額が分かります。
出典
国税庁|自動車重量税の廃車還付制度
国税庁|自然災害による自動車重量税の還付制度
軽自動車検査協会|解体届出
軽自動車検査協会|解体返納
東京都主税局|自動車税
横浜市|軽自動車税について
東京海上日動|自賠責保険の廃車・解約手続き