大雨で1階の浸水が心配なとき、家の中にある物を全部2階へ運ぶ必要はありません。
優先したいのは、「高価な物」だけではなく、避難やその後の生活に必要な物、なくすと代替しにくい物、水に弱く短時間で運べる物です。
逆に、冷蔵庫や洗濯機、タンスなどの大型家財は、浸水が迫ってから無理に動かす物ではありません。
まず次の順番で考えると判断しやすくなります。
- 避難時に自分で持っていく物
- なくすと困る重要書類・データ・思い出の品
- 1人でも移動できる家電
- 衣類・寝具・2階で使う備蓄品
- 大型家電・大型家具は時間と安全に余裕がある場合だけ
ただし、自宅の想定浸水深が2階まで達する場合は、「2階へ上げれば大丈夫」とは限りません。家財を守る作業より、早めに安全な場所へ避難することを優先します。
最優先は「2階に置く物」ではなく「持って避難する物」
重要な物をすべて2階へ運ぶ前に、家から避難することになった場合に持っていく物を分けてください。
スマートフォン、モバイルバッテリー、常用薬、お薬手帳などの薬の情報、本人確認書類、現金、家や車の鍵などです。
これらを2階の奥へしまい込むと、外へ避難するときに取りに戻ることになります。
「避難時に持っていく物」と「家に残して浸水から守る物」は分けて考えた方が安全です。
非常持ち出し袋を作っている場合は、すぐ持ち出せる状態にしておきます。
2階へ上げる優先順位は「代替しにくい・水に弱い・運びやすい」で決める
1階にある物を見回したとき、値段だけで決めると、大型テレビや冷蔵庫の移動に時間を使ってしまうことがあります。
先に見るのは、その物を失ったときの困り方です。
| 優先度 | 2階へ移したい物 | 判断理由 |
|---|---|---|
| 高い | 重要書類、パソコン、記録媒体、写真、アルバム | 再発行できない物や失ったデータを戻せない場合がある |
| 高い | ノートパソコン、小型テレビ、ゲーム機、カメラなど | 水に弱く、比較的短時間で移動できる |
| 中 | 衣類、布団、毛布、タオル | 浸水すると洗浄・乾燥や買い替えが必要になりやすい |
| 中 | 飲料水、非常食、ライト、携帯トイレなど | 2階にとどまることになった場合に必要になる |
| 低い | 冷蔵庫、洗濯機、大型テレビ、大型家具 | 重く、直前の移動に時間と人手が必要 |
同じ家電でも、小さなノートパソコンと大型冷蔵庫では優先順位が違います。
「値段が高いから先」ではなく、「短時間で安全に守れるか」まで含めて判断します。
書類は全部運ぶのではなく、必要性で分ける
紙類は水に弱いため、1階に保管している重要書類は早めに高い場所へ移します。
ただし、家にある書類ファイルを丸ごと全部2階へ運ぶ必要はありません。
優先したいのは、再発行できない物、再発行に手間がかかる物、契約や財産の確認に必要になる物です。
本人確認書類など避難先でも必要になる物は持ち出し側へ回します。一方、契約書、住宅や保険に関する書類など、避難時にすぐ使わない紙は、防水できる袋やケースへまとめて2階へ移しておく方法があります。
銀行口座番号、保険契約番号などは、原本だけに頼らず控えを作っておくと、災害後に確認しやすくなります。
「紙を守る」だけでなく、必要な情報を別の形でも残しておくことが重要です。
家電は小さくて水に弱い物から上げる
家電製品の多くは水に弱いため、パソコンやラジオなど移動できる家電は、浸水前の安全な段階で高い場所へ移します。
特に優先しやすいのは、パソコン、外付けハードディスク、カメラ、ゲーム機、小型テレビなどです。
パソコン本体の価格だけでなく、中にしか残っていない写真や仕事のデータがある場合は、優先順位がさらに上がります。
安全に作業できる段階で電源を切り、プラグを抜いてから移動します。
すでに床が濡れている場合や、コンセント周辺まで水が来ている場合は、家電を助けるために電気設備へ触れないでください。
また、一度水に浸かった家電は、表面が乾いたように見えても自己判断で通電しないことが重要です。販売店やメーカーなどへ点検を相談します。
冷蔵庫や洗濯機は無理に2階へ運ばない
「家電を2階へ」と聞いて、冷蔵庫や洗濯機まで運ぼうとする必要はありません。
大型家電は階段での転倒やけがの危険があり、複数人でなければ安全に移動できない物もあります。
大雨の直前になってから大型家電を運ぶより、パソコン、書類、写真、薬、衣類など短時間で動かせる物を守る方が現実的です。
タンスなども同じです。
家具本体を動かせなくても、中に入っている重要書類、衣類、貴重品などを取り出して2階へ移すことはできます。
大型の物は「本体を守れるか」ではなく、「中身だけでも先に守れないか」と考えると、限られた時間を使いやすくなります。
2階に残る可能性があるなら備蓄も上げておく
1階が浸水すると、2階から安全に降りられなくなる場合があります。
自宅の2階などで安全を確保する可能性がある家庭では、飲料水、非常食、ライト、モバイルバッテリー、携帯トイレ、常用薬なども上階へ分散しておきます。
備蓄をすべて1階の収納庫へ入れていると、浸水後に使えなくなる可能性があります。
避難所へ持っていく非常持ち出し袋と、自宅の2階で使う備蓄品は別に考えると整理しやすくなります。
2階へ上げる作業をやめるタイミングも決めておく
家財を守る作業は、水が入ってくる前に行うものです。
雨や風が強くなり、周囲の道路や庭に水がたまり始めてから、「あと一つだけ」と家電や家具を運び続けるのは避けます。
自宅周辺の危険が高まった場合や避難が必要になった場合は、家財の移動を途中で終えても人の安全を優先します。
また、ハザードマップで2階まで浸水する想定になっている場所では、最初から「2階へ上げれば守れる」という前提にしないことが重要です。
早めに自宅の外へ避難する必要がある住宅もあります。
迷ったら「1人で持てる物」から始める
大雨が予想されているのに何から手を付ければよいか分からない場合は、まず1階を見回してください。
避難時に持っていく物をまとめたうえで、重要書類、パソコンや記録媒体、写真、小型家電、衣類や寝具、2階で使う備蓄品という順に移します。
大型家電や大型家具まで全部助けようとしないことも大切です。
家財を2階へ上げる目的は、家の中の物を一つ残らず守ることではありません。
「失うと生活再建に困る物」と「今のうちなら安全に動かせる物」を先に守り、危険が高まる前に作業を終えることが、大雨前の家財移動の基本です。
出典
国土交通省|クイズで学ぼう!マイ・タイムライン
国土交通省|水害対策を考える 4-1-4 財産を守る家づくり
一般財団法人家電製品協会|よくあるご質問 4.自然災害
政府広報オンライン|【防災特集】ACTION01 災害に事前に備える
政府広報オンライン|命を守るために知ってほしい「特別警報」