大雨のたびに自宅の駐車場へ水が入り、車の水没が心配なら、駐車場の嵩上げ工事に自治体の補助金を使える場合があります。
実際に、新潟市には「駐車場かさ上げ工事助成制度」があり、西尾市、我孫子市、宗像市でも浸水対策制度の対象工事として駐車場の嵩上げが挙げられています。(新潟市)
ただし、全国共通の「車の水没対策補助金」があるわけではありません。
自治体によって、駐車場だけを守る工事でも対象になる場合と、住宅への浸水を防ぐ対策でなければ対象にならない場合があります。
駐車場だけを高くする工事に補助が出る自治体はある
最も分かりやすい例が新潟市です。
新潟市の「駐車場かさ上げ工事助成制度」は、住宅に附属する既設駐車場の浸水被害を軽減するための制度です。
対象となるのは、住居と同じ敷地にあり、居住者自身が使用する駐車場です。
さらに、既設の駐車場より平均10cm以上、かつ前面道路より平均10cm以上高くする工事という条件があります。
工事費の2分の1、上限10万円が助成されます。(新潟市)
つまり、「家を高くするのではなく、車を置いている部分だけを高くしたい」という工事にも自治体支援が存在します。
我孫子市も、浸水防止工事の対象として「駐車場のコンクリート、砂利等によるかさ上げ工事」を明記しています。
こちらは対象工事を合算した経費の2分の1、上限30万円です。(市役所あびこ)
「住宅の盛土」と「駐車場だけの嵩上げ」は分けて確認する
駐車場を高くする方法として土を入れたい場合、「敷地の盛土補助があるから駐車場にも使える」とは限りません。
西尾市では、住宅の敷地を30cm以上盛土する工事を「浸水対策改修等工事」としています。
一方、駐車場のかさ上げは別の「市長が認める工事」に分類されています。(西尾市公式サイト)
同じ敷地を高くする工事でも、
住宅周辺を含めて敷地を盛土するのか
駐車スペースだけを高くするのか
で制度上の扱いが変わることがあります。
施工会社に「駐車場を20cm上げたい」と伝えるだけでなく、自治体には「住宅敷地全体の盛土ではなく、駐車場部分だけの嵩上げを予定している」と伝えた方が対象区分を確認しやすくなります。
車を守る目的だけでは使えない制度もある
ここが特に注意したいところです。
自治体に「浸水対策補助金」があっても、車を守るためなら何でも対象になるわけではありません。
稲沢市には防水板設置の補助制度がありますが、駐車場だけの浸水を防ぐために防水板を設置する場合は対象外です。
一方、その防水板によって駐車場だけでなく建物への浸水も防げる場合は補助対象になります。(稲沢市公式ウェブサイト)
新潟市では駐車場そのものの嵩上げが対象になり、稲沢市では駐車場だけを守る防水板は対象外。
この違いから分かるのは、「車の水没対策」という目的だけで補助対象を判断できないということです。
自治体が「住宅を守る制度」にしているのか、「駐車場そのものも守る制度」にしているのかを確認します。
新しく駐車場を造る費用まで出るとは限らない
これから家を建てる人が、
「水害が怖いから最初から駐車場を高くしておこう」
と考えることもあります。
しかし、既存駐車場の改修と新設は分けて確認する必要があります。
新潟市の制度は既設駐車場の嵩上げが対象で、新規の駐車場舗装は助成対象外です。(新潟市)
つまり、土地購入や新築時に最初から高い駐車場を造れば、全国的に嵩上げ補助が使えるということではありません。
既存の低い駐車場を浸水対策として改修する制度なのか、新築・新設時にも使える制度なのかを先に確認します。
「10cm上げれば安全」という意味ではない
新潟市の場合、助成対象工事には「既設駐車場より平均10cm以上、前面道路より平均10cm以上」という条件があります。
ただし、これは新潟市の補助制度上の条件です。(新潟市)
自宅周辺で想定される浸水がそれより深ければ、補助要件を満たすだけでは車を守れない可能性があります。
先に確認したいのは、
自宅の駐車場が周囲よりどれだけ低いか
前面道路から水が入ってくるのか
ハザードマップではどの程度の浸水が想定されているか
過去にどこまで水位が上がったか
です。
「補助対象になる高さ」と「実際に必要な浸水対策高さ」は同じものとして考えない方がよいでしょう。
過去に水没していなくても使える制度はある
補助金を探すとき、「一度水没した家だけが対象なのでは」と考えるかもしれません。
これも自治体によります。
新潟市では、浸水被害が発生した区域だけでなく、洪水ハザードマップや浸水ハザードマップで浸水が想定される区域の住宅に附属する駐車場も対象になります。(新潟市)
西尾市も、過去に浸水被害が確認された敷地だけでなく、洪水・内水ハザードマップで浸水が予測されている敷地を対象としています。(西尾市公式サイト)
一方、我孫子市は、過去の浸水被害や市が把握する浸水実績、道路冠水実績などを対象条件としています。(市役所あびこ)
したがって、自宅の車がまだ水没したことがなくても、制度がないと判断する必要はありません。
まず住所から対象区域を確認します。
災害後に期間限定の補助制度ができる場合もある
恒久的な制度だけを検索すると、利用できる補助金を見落とす場合があります。
福岡県宗像市では、2025年8月の大雨を受け、2026年度に浸水対策補助金を設けています。
対象工事には止水板や設備機器の嵩上げとともに、駐車場の嵩上げ工事も含まれています。
2025年8月の大雨で被害を受けた人、または洪水・内水の浸水想定区域内の居住者・事業者が対象で、対象費用の2分の1、上限50万円です。(宗像市公式サイト)
このように豪雨災害後に新しい制度が作られることもあります。
自治体サイトでは「駐車場嵩上げ補助金」だけでなく、「大雨 浸水対策補助金」「水害対策補助金」「浸水防止工事助成」といった名称まで確認した方がよいでしょう。
駐車場補助金がなければ「車両避難場所」も調べる
駐車場嵩上げの補助制度がない自治体でも、車の水没を防ぐ行政支援がまったくないとは限りません。
水害時に車を高い場所へ移動させる「車両避難場所」を用意している自治体があります。
川越市では、風水害時に車両を被害から守るため、民間事業者の駐車場などを一時避難場所として利用する仕組みがあります。(川越市公式サイト)
須賀川市も、大規模水害時に生活の足となる自家用車が水没すると生活再建の支障になるとして、公共施設の駐車場を一時的な車両退避場所として開放しています。(須賀川市)
海老名市では、相模川氾濫のおそれがある場合に企業の立体駐車場を利用できる協定を結び、2階以上を中心に約7,300台分のスペースを確保しています。(海老名市公式サイト)
これは工事費の補助ではありません。
しかし「車を水没から守る」という目的から考えれば、自宅の駐車場を高くする方法と並べて確認する価値があります。
自分の自治体では3方向から探す
駐車場の嵩上げ補助金を探すときは、「市区町村名+駐車場+補助金」だけでは十分ではありません。
まず、
「市区町村名 駐車場 かさ上げ 助成」
を確認します。
直接の制度がなければ、
「市区町村名 浸水防止工事 補助金」
「市区町村名 住宅浸水対策 補助金」
まで広げます。
それでも見つからなければ、
「市区町村名 水害 車両避難場所」
「市区町村名 車両退避場所」
も確認します。
この3方向で探せば、
駐車場自体を高くする費用への補助
住宅浸水対策の一部として使える補助
豪雨時に車を別の場所へ逃がす支援
を分けて確認できます。
工事を決める前に「駐車場だけ」と伝えて確認する
実際に自治体へ問い合わせるときは、
「浸水対策をしたい」
だけではなく、
「自宅建物は工事せず、車の浸水を防ぐため駐車場部分だけを嵩上げしたい」
と伝えるのがポイントです。
そうすれば、住宅全体の盛土制度なのか、駐車場単独の嵩上げ制度なのか、そもそも対象外なのかを切り分けやすくなります。
さらに、
既存駐車場か新設予定か
自宅と同じ敷地か
舗装済みか
ハザードマップ上の浸水想定区域か
過去に車庫・道路が冠水したことがあるか
も伝えます。
駐車場の嵩上げに自治体支援は実際にあります。
ただし探すべきなのは「全国共通の車水没補助金」ではありません。
駐車場専用助成、住宅浸水対策補助、災害後の期間限定補助、車両避難場所まで含めて、自分の自治体がどの方法で車の水没対策を支援しているか確認するのが最も取りこぼしの少ない探し方です。