浸水対策の補助金は、止水板や住宅の嵩上げだけではありません。
自治体によっては、床下換気口から水が入るのを防ぐ「浸水防止蓋」や、床下などに入った水を排出する「排水ポンプ・釜場」まで補助対象にしています。
ただし、ここは補助制度を探すときに特に間違えやすいところです。
床下換気口だけの対策では補助されない自治体があります。また「排水ポンプ補助金」と検索すると、住宅の浸水対策とは目的が違う汚水ポンプ制度も出てきます。
設備名だけで探すのではなく、何の水を、どこで止めたり排出したりする設備なのかまで確認する必要があります。
床下換気口も浸水の入口として補助対象になることがある
玄関や勝手口に止水板を付けても、水の入口はそこだけとは限りません。
西尾市の浸水対策制度では、床下換気口やブロック塀の開口部を塞ぐ「浸水防止蓋」が補助対象になっています。
幸田町でも、住宅等の床下換気口やブロック塀等の開口部に設置する板を「浸水防止蓋」として補助しています。購入だけでも対象です。
犬山市も、家屋の換気口などに設置して浸水を防ぐ板を補助対象施設に含めています。 (西尾市公式サイト)
「止水板補助金」という名称しか見つからなくても、制度本文の対象施設を読むと床下換気口まで含まれていることがあります。
そのため自治体サイトでは、「床下換気口 補助金」だけでなく、「浸水防止蓋」「浸水防止板」「住宅浸水対策」といった言葉でも探した方が見つけやすくなります。
床下換気口だけでは補助されない自治体もある
換気口用の止水板が制度内に登場していても、単独で申請できるとは限りません。
岡山市では「床下換気口のみの止水板設置」は補助対象外です。
ただし、玄関など別の場所へ設置する止水板と同時に申請する場合は補助対象になります。 (岡山市公式サイト)
つまり確認するべきなのは、「床下換気口用の製品が対象設備に含まれているか」だけではありません。
換気口だけの対策で申請できるのか、建物全体の止水対策の一部として設置する必要があるのかまで確認します。
同じ床下換気口対策でも、幸田町のように独立した対象設備として扱う制度と、岡山市のように他の止水板との組み合わせを求める制度があります。
「玄関を塞げば終わり」ではない住宅もある
西尾市の浸水対策解説では、浸水深が1階床面より深くなる場合について、ドア、窓、床下換気口、基礎の打ち継ぎ、配管貫通部など、複数の侵入経路を示しています。
同市の補助対象例にも、床下換気口のほか、配管まわりの止水、逆流防止弁付き汚水ます、外壁対策などが挙げられています。
この点は、止水板だけを探していると見落としやすい部分です。
過去に床下浸水したことがある住宅なら、「玄関から入った」と決めつけず、換気口、配管貫通部、下水側など、どこから水が入ったのかを確認してから対策を選んだ方がよいでしょう。
補助金も、その侵入経路に対応する工事まで対象にしている場合があります。
排水ポンプまで住宅向け補助に含める自治体もある
水を入れない対策とは逆に、入ってしまった水を早く外へ出すための工事を補助する自治体もあります。
西尾市では「排水ポンプ・釜場の設置」を住宅浸水対策の対象例として明記しています。 (西尾市公式サイト)
釜場とは、床下などの水を一か所へ集めてポンプで排出しやすくするための低い部分です。
西尾市の解説では、基礎土間面に勾配を設け、排水ポンプ・釜場を設ける方法が示されており、釜場から排水するときには「適切な排水先を確保すること」とされています。
したがって、排水ポンプは単にホームセンターでポンプを一台買えば完成という対策ではありません。
どこに水を集め、どこへ排出できるのかまで含めて計画する必要があります。
「排水ポンプ補助金」で検索すると別制度が混ざる
ここが最も見落としやすいところです。
例えば豊田市には「汚水ポンプ施設設置補助制度」があります。
しかしこれは大雨で床下に入った水を排出するための補助金ではありません。
道路より宅地が低く、自然流下では汚水を公共下水道へ排除できない既存家屋について、下水道を利用するための汚水ポンプを設置する制度です。
豊橋市にも同様に、低地や水路等の影響で公共下水道への汚水排水が難しい住宅を対象とした宅地内汚水ポンプ設備の補助があります。 (豊橋市公式ウェブサイト)
検索結果に「住宅」「排水ポンプ」「補助金」と並んでいても、それだけで水害対策用とは判断できません。
制度目的に、
「公共下水道へ排除する」
「下水道接続」
「汚水ポンプ」
と書いてある場合は、床下浸水対策とは別制度である可能性が高くなります。
一方、
「浸水被害を防止・軽減」
「住宅浸水対策」
「床下の排水」
「釜場」
などが書かれていれば、今回探している制度に近くなります。
排水ポンプは個人住宅では使えない補助制度もある
排水ポンプが対象設備に書かれていても、対象者まで確認する必要があります。
調布市では排水ポンプ購入費の2分の1、上限5万円を助成しています。
ただし、この排水ポンプ助成を利用できるのは防災市民組織や管理組合等で、個人住宅の所有者が自宅用に1台購入する制度ではありません。 (調布市公式サイト)
宇都宮市にも排水ポンプ設置への補助がありますが、対象は病院、診療所、スーパー、介護施設など一定の都市機能誘導施設です。
さらに排水ポンプについては、想定浸水深がおおむね1mを超える区域で、施設内への浸水を防ぐための止水板・防水扉などの対策が講じられていることも条件になっています。 (宇都宮市公式サイト)
つまり「ポンプさえ付ければ補助される」制度ばかりではありません。
水を入れない対策と、水が入った場合に排出する対策を組み合わせることを前提にした制度もあります。
医療施設などでは雨水貯留槽とポンプを一体で補助する例もある
事業施設まで範囲を広げると、排水ポンプの使い方はさらに変わります。
神奈川県の医療施設浸水対策事業では、建物への浸水を防ぐための雨水貯留槽を整備し、そこにたまった水を河川や雨水管等へ排出するポンプを設置する工事が補助対象です。 (神奈川県公式サイト)
これは一般住宅向け制度ではありません。
しかし、排水ポンプ補助を探すときに「ポンプ単体」だけを見てはいけないことが分かります。
貯留槽、釜場、排水先、止水設備などと一体の施設として補助する制度もあります。
補助金がなくても排水ポンプの貸出支援がある場合がある
自宅向けの排水ポンプ購入補助が見つからないからといって、自治体支援がまったくないとは限りません。
大田区では、実際に自宅等が浸水被害を受けた場合、区内在住または在勤者に排水ポンプを貸し出す制度があります。
台数には限りがあり、これは事前に設備を整備するための補助金ではありません。 (大田区公式サイト)
それでも、被災後に床下などの水を排出する際には使える可能性があります。
自治体サイトでは「排水ポンプ 補助金」だけでなく、「排水ポンプ 貸出」「水害 排水ポンプ 貸与」まで確認しておくと、災害後に使える支援も見つけられます。
雨水タンクや浸透ますの補助金とも分けて考える
もう一つ混同しやすいのが、雨水貯留・浸透施設です。
岡崎市などでは、雨水タンク、浸透ます、浸透管、浸透側溝などへの補助制度があります。
これは家の中や床下へ入ってしまった水をポンプで排出する制度ではなく、敷地から短時間に流れ出す雨水量を減らすための制度です。 (岡崎市ホームページ)
どちらも「浸水対策」ですが、目的が違います。
家へ水を入れない
→床下換気口の浸水防止蓋、止水板など
入った水を出す
→排水ポンプ、釜場など
敷地から流れ出る雨を減らす
→雨水タンク、浸透ますなど
というように分けると、自分が探している補助制度を見つけやすくなります。
自分の住宅では「水がどこから来るか」で制度を探す
床下浸水が心配だからと、最初から排水ポンプを選ぶ必要はありません。
例えば床下換気口から水が流れ込んでいるのであれば、先に換気口の浸水防止対策が候補になります。
下水からの逆流が原因なら、逆流防止設備が対象になる自治体もあります。
外からの浸水を完全には防ぎにくく、床下へ入った水を早く抜く必要がある住宅なら、釜場や排水ポンプが候補になります。
したがって補助金を探す順序は、
「何を買いたいか」
ではなく、
「どこから水が入るのか、入った水をどう処理するのか」
から考える方が適しています。
自治体へ相談するときも、
「排水ポンプの補助はありますか」
だけではなく、
「道路冠水時に床下換気口から水が入り、床下に水が残るため、換気口の浸水防止蓋と床下の排水ポンプを検討しています」
と伝える方が、利用可能な制度を切り分けやすくなります。
床下換気口や排水ポンプは、止水板より検索されにくい浸水対策ですが、実際に補助対象にしている自治体があります。
一方で、単独施工では対象外になる制度や、個人住宅では使えないポンプ補助、まったく目的の違う汚水ポンプ補助もあります。
「設備名が載っているか」だけではなく、対象者・制度目的・水の流れまで確認することが、見落としと取り違えを防ぐポイントです。