線状降水帯直前予測が出た|避難指示を待つ?危険な場所なら先に避難する?

「線状降水帯直前予測」が出ても、それだけで地域の全員に避難が必要という意味ではありません。

ただし、崖や川の近く、土砂災害警戒区域、洪水の浸水想定区域など危険な場所にいる場合は、「市町村から避難指示が出るまで待つ」と決めない方が安全です。

線状降水帯直前予測は、今後3時間以内に線状降水帯が発生する危険性が高まったときに発表されます。実際に発生すると災害の危険度が急激に高まり、外へ避難すること自体が難しくなる場合があります。

そのため、

「直前予測が出たか」だけで避難を決めるのではなく、

「自宅が危険な場所か」
「現在のキキクルは何色か」
「川の水位は上がっていないか」
「まだ安全に移動できるか」

を確認して、自分で避難開始を判断します。

線状降水帯直前予測は「避難指示」ではない

線状降水帯直前予測の正式な情報名は「気象防災速報(線状降水帯直前予測)」です。

今後3時間以内に線状降水帯が発生する危険性が高まった場合に発表されます。

一方、避難指示は市町村が地域の災害リスクなどを踏まえて発令します。

つまり、

  • 気象庁が出す線状降水帯直前予測
  • 市町村が出す避難指示

は別の情報です。

「直前予測が出た=必ず避難指示が出ている」とは限りません。

反対に、「まだ避難指示が出ていない=自宅にいて安全」とも限りません。

防災気象情報の方が、市町村の避難情報より先に発表される場合があります。

危険な場所なら避難指示が出るまで待つ必要はない

自宅が災害の危険が想定される場所にあり、危険度が高まっている場合は、避難指示がまだ発令されていなくても自ら避難を判断します。

特に確認したいのは次のような場所です。

  • 土砂災害警戒区域にある家
  • 崖や急斜面の近く
  • 河川の近く
  • 洪水ハザードマップの浸水想定区域
  • 浸水しやすい低い土地
  • 地下・半地下の住宅や部屋

線状降水帯直前予測が出た段階では、まだ雨がそれほど強くない場合もあります。

しかし、「今は普通に歩けるから大丈夫」と考えているうちに雨が急激に強まり、道路冠水や河川の増水で移動できなくなる可能性があります。

危険な場所から離れる必要がある人にとって、雨が激しくなる前の時間は避難に使える時間です。

まずハザードマップとキキクルを一緒に見る

線状降水帯直前予測は比較的広い地域を対象に発表されるため、自宅周辺の危険度まで直前予測だけで判断することはできません。

そこで確認するのがハザードマップと「キキクル」です。

ハザードマップでは、「自宅がもともとどの災害に弱い場所なのか」を確認します。

キキクルでは、「現在、その場所で土砂災害・浸水・洪水の危険度がどこまで高まっているか」を確認できます。

考え方は次のようになります。

状況行動の目安
ハザード区域外で、周囲にも危険が見られない直前予測だけを理由に全員が外へ避難する必要はない。最新情報を継続確認する
危険な区域にあり、キキクルが赤高齢者など避難に時間がかかる人は避難。その他の人も準備し、早めの自主避難を検討する
危険な区域にあり、キキクルが紫避難指示を待たず、危険な場所から避難する判断が必要
すでに道路冠水などで外への移動が危険無理に避難所へ向かわず、その時点でより安全な場所へ移る

キキクルの「警戒(赤)」は警戒レベル3相当、「危険(紫)」は警戒レベル4相当です。

紫まで危険度が高まっている場合は、市町村の避難指示がまだ出ていなくても、自ら避難する判断が必要な段階です。

「2~3時間前の予測だから時間がある」とは考えない

線状降水帯直前予測は、線状降水帯発生の2~3時間前を目標として始まった情報です。

ただし、「発表されたら必ず2~3時間後に線状降水帯が発生する」という意味ではありません。

気象庁は、直前予測について、今後3時間以内に発生する危険性が高まった場合に発表するとしています。

発表から短時間で状況が悪化する場合もあります。

そのため、

「あと2時間あるから風呂に入ってから」
「避難指示が出たら荷物をまとめよう」

という使い方には向きません。

避難に時間がかかる人や、雨が強くなると避難経路が危険になる家では、外を安全に移動できるうちに行動する必要があります。

線状降水帯が実際に発生するまで待たない

直前予測の後には、実際に線状降水帯が確認されたことを知らせる「気象防災速報(線状降水帯発生)」が発表される場合があります。

しかし、これも待つための情報ではありません。

線状降水帯が実際に発生している段階では、大雨による災害発生の危険度がすでに急激に高まっている場合があります。

「直前予測だけならまだ待つ」
「発生情報が出たら避難する」

と固定してしまうと、避難開始が遅れる可能性があります。

大切なのは線状降水帯という名前が付いた情報を待つことではなく、自分がいる場所の危険度がどこまで高まっているかを見ることです。

避難先は必ずしも指定避難所だけではない

早めに避難できる状況なら、安全な場所へ立退き避難します。

避難先は、市町村が指定した避難場所だけとは限りません。

災害の危険がない安全な親戚・知人宅や宿泊施設などへ早めに移動する方法もあります。

一方、自宅が洪水の浸水想定区域に入っていても、条件によっては自宅の上階で安全を確保できる場合があります。

洪水時に自宅で安全を確保する場合は、ハザードマップで少なくとも、

  • 家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていない
  • 想定される浸水深より居室が高い
  • 水が引くまで滞在できる水・食料などがある

ことを確認します。

「2階建てだから2階へ行けば安全」と一律には判断できません。

家ごと流されるおそれがある区域や、最上階まで浸水する想定の場所では、雨が激しくなる前に建物の外へ立退き避難する必要があります。

外への避難が危険になってから避難所へ向かわない

早めの避難が重要なのは、避難そのものにも危険があるためです。

道路が冠水した後に歩いて避難すると、側溝やマンホールの位置が分からなくなったり、流れる水で転倒したりする危険があります。

土砂災害が心配な場所では、大雨の中で崖沿いの道路を移動する方が危険になる場合もあります。

すでに外へ出ることが危険な状態なら、遠い指定避難場所へ無理に向かうのではなく、その時点で少しでも安全な場所へ移ります。

例えば、近くの頑丈な建物の上階へ移動したり、土砂災害の場合は建物内でも崖や沢からできるだけ離れた部屋へ移ったりする方法があります。

これは「まだ家にいて大丈夫」という判断とは違います。

外へ安全に逃げる段階を過ぎてしまった場合の、命を守るための次善の行動です。

直前予測が出たら最初に確認する順番

線状降水帯直前予測が自分の地域に出たら、テレビを見ながら避難指示が出るのを待つのではなく、まず自宅の状況を確認します。

最初にハザードマップで、自宅が土砂災害や洪水の危険区域にあるかを確認します。

次に、キキクルで自宅周辺の土砂・浸水・洪水の危険度を確認します。

河川の近くなら、水位情報も確認します。

そのうえで、

「このまま雨が強くなっても家にとどまれる場所なのか」
「安全な場所へ移動する必要があるのか」
「今なら安全に移動できるのか」

を判断します。

危険な場所から立退き避難する必要がある家なら、避難指示が出るまで待つことを避難開始の条件にしないことが重要です。

線状降水帯直前予測は、「あとで避難を考える情報」ではなく、状況によっては「まだ動けるうちに行動するための情報」と考えるとよいでしょう。

出典

気象庁|線状降水帯に関する情報
気象庁|防災気象情報と警戒レベルとの対応について
気象庁|土砂キキクル
気象庁|洪水キキクル
政府広報オンライン|「警戒レベル4」までに危険な場所から全員避難!5段階の「警戒レベル」を確認しましょう