水没車のレッカー代は誰が払う?自動車保険・ロードサービスを確認

大雨で車が水没し、エンジンをかけられない。

販売店までレッカーが必要になったとき、次に気になるのが、

「このレッカー代は自分で払うの?」

という問題です。

結論からいうと、自動車保険にロードサービスが付いていれば、その補償範囲内のレッカー費用は保険会社側で負担してもらえる場合があります。

JAF会員なら、JAFの無料サービス範囲を利用する方法もあります。

ただし、自分で先にレッカー業者を呼ぶと、後から保険会社へ請求しても全額支払われない場合があります。

水没車では、まず財布を出すのではなく、

契約している自動車保険のロードサービスを確認する

ことから始めます。

水没車のレッカー代と修理代は同じ保険の話ではない

まず分けておきたいのが、

「水没した車そのものの損害」

と、

「車を修理工場まで運ぶ費用」

です。

大雨や洪水で車が水没した損害は、契約内容によって車両保険の対象になります。

日本損害保険協会では、一般的な車両保険について、台風・洪水・高潮による損害を補償対象として示しています。

一方、レッカー費用は、自動車保険に付帯するロードサービスやロードサービス費用特約などで対応する商品があります。

そのため、

「車両保険に入っていない」

から、

「レッカーも全部自費」

とは限りません。

例えば東京海上日動では、一部契約を除き、車両保険の有無にかかわらずロードアシストが自動セットされています。

損保ジャパンの「THE クルマの保険」でも、ロードアシスタンスはすべての契約が対象です。

まず確認するのは「車両保険に入っているか」だけではなく、保険証券や契約画面に、

「ロードサービス」

「ロードアシスタンス」

「車両搬送費用」

「ロードサービス費用特約」

などが付いていないかです。

保険会社が手配すれば自分で払わなくてよい場合がある

保険会社のロードサービスを利用する場合、必ずしも利用者がレッカー業者へ現金を払い、あとから保険金を請求するわけではありません。

例えば損保ジャパンは、ロードアシスタンス専用デスクへ連絡した場合、契約内容を確認したうえで原則キャッシュレスで利用できるとしています。

つまり条件内であれば、

保険会社へ連絡する。

保険会社側が業者を手配する。

車を搬送する。

対象費用は保険会社側で処理する。

という形になります。

ただし、すべての費用が必ず無料になるという意味ではありません。

契約上の限度額を超えた場合や、対象外の作業が発生した場合には自己負担が出ます。

レッカー距離が長くても保険会社負担になる場合がある

レッカー費用は単純に、

「○kmまで無料」

だけで決まるとは限りません。

例えば損保ジャパンでは、通常はレッカーけん引と応急処置を合わせて1事故15万円が限度です。

しかし、事前にロードアシスタンス専用デスクへ連絡し、保険会社が承認した修理工場などへ運ぶ場合には、その15万円の限度額を適用しない仕組みがあります。

東京海上日動でも、通常は車両搬送費用と応急対応費用を合わせて15万円限度ですが、事前承認した修理工場等へのレッカー搬送では限度額を適用しない仕組みがあります。

三井住友海上にも、保険会社側のロードサービスを利用した場合に、合理的な経路で修理工場まで搬送する費用を広くカバーする商品があります。

つまり、

「販売店まで遠いから保険では足りないだろう」

と自己判断して別の業者を探す前に、保険会社へ搬送先を相談した方がよいということです。

自分でレッカー業者を呼ぶと、いったん自己負担になることがある

一番注意したいのが、

「早く何とかしなければ」

と検索して、保険会社へ連絡する前にレッカー業者を呼ぶケースです。

日本損害保険協会は、ロードサービス業者を利用した後に保険金を請求しても、費用の全額が支払われない場合があるとして、レッカー等が必要なら最初に保険会社または代理店へ連絡するよう案内しています。

保険会社によっては、自分で手配したレッカー費用も一定条件で補償対象になる場合があります。

しかし、

「後で領収書を出せば全部戻る」

とは限りません。

そのため水没車を発見したら、

レッカー業者を検索する前に、保険会社のロードサービス窓口を確認する

のが基本です。

JAF会員なら20kmまで無料のけん引が基本

自動車保険とは別にJAFへ加入している場合は、JAFのロードサービスを使う方法があります。

JAFは大雨による車両冠水にも対応しており、水が引いた後で水没車を販売店や整備工場などへけん引できます。

現在のJAFの通常サービスでは、会員はけん引20kmまで無料です。

20kmを超えた部分については、1kmごとに830円がかかります。

ただし、事故車の処理や特殊な引き上げなど、会員無料範囲を超える作業では別途費用が発生する場合があります。

つまりJAF会員でも、

「水没車なら何kmでも完全無料」

というわけではありません。

どこまで無料になるかは、搬送距離だけでなく現場の状態や必要な作業でも変わります。

JAF非会員なら基本的には利用者が支払う

JAFは会員でなくても利用できます。

ただし非会員の場合は、ロードサービス料金を利用者が負担します。

JAFの一般道路での故障車けん引の料金例では、非会員は基本料金・作業料金などに加えて1kmごとのけん引料金がかかります。

また、非会員は原則として作業終了時に現場や入庫先で現金またはクレジットカードによる支払いが必要です。

そのため、

自動車保険のロードサービスはない。

JAFにも入っていない。

販売店独自のロードサービスも使えない。

という場合は、レッカー代が自己負担になる可能性が高くなります。

だからこそ、JAFを直接呼ぶ前にも一度、自動車保険にロードサービスが付いていないか確認する価値があります。

保険とJAFの両方に入っているなら保険会社へ先に連絡する

自動車保険にもロードサービスがあり、JAF会員でもある。

この場合、

「どっちを使えばいいの?」

と迷います。

JAFは、提携している自動車保険に加入しているJAF会員について、まず保険会社のコールセンターへJAF会員であることを伝えるよう案内しています。

利用者の同意があれば、保険会社からJAFへ取り次いでもらえる仕組みがあります。

また、保険会社によってはJAF会員向けにサービス範囲が拡大されます。

したがって、

保険会社へ連絡 → JAF会員であることを伝える

という順番にすると、自分だけで「保険とJAFのどちらが得か」を判断する必要がありません。

車両保険を使うのとレッカーだけ使うのは等級への影響も違う

「保険を使うと翌年の保険料が上がるから、レッカーも使わない方がいいのでは」

と考える人もいるでしょう。

ここも、車両保険とロードサービスを分けます。

三井住友海上では、ロードサービスやロードサービス費用特約だけを利用した場合、等級は下がらないとしています。

あいおいニッセイ同和損保も、ロードアシスタンスサービスだけの利用なら等級は下がらないと案内しています。

一方、大雨・洪水による水没損害について車両保険を使う場合は別です。

三井住友海上では、台風・洪水・高潮などによる水害で車両保険を使うと、翌契約の等級が1等級下がるとしています。

つまり、

レッカーだけロードサービスを使うこと

と、

水没した車の損害に車両保険金を請求すること

は分けて考える必要があります。

実際の等級への影響は加入商品・契約内容を保険会社へ確認してください。

保険を使っても自己負担が出やすいのはこんな場合

ロードサービスが付いていても、何でも保険会社が払うわけではありません。

例えば、契約上のレッカー費用限度額を超えた場合。

利用者の都合で、一度運んだ車を別の場所へもう一度レッカーした場合。

利用者の都合による長時間の待機や保管。

ロードサービスの対象外となる特殊作業。

事前連絡が必要なのに、独自に業者を手配した場合。

こうしたケースでは、全部または一部が自己負担になることがあります。

そのため、水没車の場合は最初から、

「どこへ運ぶのか」

まで保険会社と決めておくことが重要です。

自宅へ一度運び、後から販売店へ再搬送すると、その2回目が自己負担になる商品もあります。

「レッカー代無料」と言われたら何が無料なのか確認する

ロードサービスで、

「無料です」

と言われても、念のため範囲を確認しておくと安心です。

確認したいのは、

レッカー搬送そのもの。

水没場所から道路まで車を引き上げる作業。

クレーンなどを使う特殊作業。

保管料金。

高速道路料金。

搬送先変更による再搬送。

などです。

水没車は、通常の故障車より引き上げ作業が大きくなる場合があります。

「レッカー無料」という言葉だけで判断せず、

「今回の水没状況で自己負担になる費用はありますか」

と聞く方が確実です。

水没車では「誰が払う?」より「誰に最初に頼む?」で決まる

水没車のレッカー代は、一律に保険会社負担でも、一律に本人負担でもありません。

契約しているロードサービスが使えるなら、保険会社が補償する。

JAF会員なら、JAF会員の無料範囲を利用できる。

それを超える部分や対象外作業は、自分で支払う。

自分で業者を手配した場合は、一度自分で支払い、後から補償されるか確認することになる場合があります。

だから最初にするのは、

「レッカーはいくらだろう」

と検索することではありません。

自動車保険のロードサービス窓口へ連絡し、「大雨で水没して自走できません」と伝えることです。

そしてJAFにも加入しているなら、そのことを伝える。

これが、利用できる補償を逃さず、不要な自己負担を増やさないための順番です。

出典

日本損害保険協会|ロードサービス業者との料金トラブルにご注意ください
資料を開く

日本損害保険協会|自動車保険
資料を開く

JAF|車内まで冠水した自動車の扱いと対処方法
資料を開く

JAF|ロードサービス内容
資料を開く

JAF|自動車保険加入者への優遇サービス
資料を開く

損保ジャパン|THE クルマの保険 ロードアシスタンス
資料を開く

東京海上日動|ロードアシスト
資料を開く

三井住友海上|ロードサービス・事故対応
資料を開く

三井住友海上|水害・水没は車両保険で補償される?
資料を開く