水没車は売れる?動かない車でも買取査定してもらえる?

大雨で車が水没し、エンジンもかからない。

販売店からも、

「修理にはかなり費用がかかる」

と言われた。

そんな状態になると、

「もう売り物にならないのでは?」

と思うかもしれません。

しかし、水没して動かなくなった車でも、査定してもらうことはできます。

重要なのは、

動く車としていくらなのかではなく、今の状態でどんな価値が残っているのか

を見てもらうことです。

普通の中古車として再販できなくても、部品や資源として価値が残る場合があります。

そのため、水没車は「0円だろう」と自分で決めて廃車にする前に、現状のまま査定を取る意味があります。

動かない水没車でも査定対象になる

車の買取というと、

店舗へ自分で乗って行き、査定してもらうイメージがあります。

しかし、水没車ではその必要はありません。

現在も、水没車や事故車、不動車を専門的に扱い、走行できない車を査定・引き取りする事業者があります。

つまり、

エンジンがかからない。

警告灯が出ている。

タイヤが動かない。

車内まで浸水している。

という状態だけで、

「査定不可」

とは決まりません。

査定で見られるのは、車が今走れるかだけではないからです。

水没車が売れるのは「中古車として売れるから」だけではない

水没車に値段が付く理由はいくつかあります。

浸水が比較的軽く、修理可能な車なら、中古車として再利用される可能性があります。

一方、走行できないほど水没していても、

使えるエンジン・駆動部品。

ボディー部品。

ホイール。

各種パーツ。

鉄やアルミなどの金属。

といった価値が残る場合があります。

水没車や事故車を扱う業者の中には、こうした部品・資源としての価値まで査定するところがあります。

だから、

「車として走れない=車両価値0円」ではありません。

普通の中古車店では値段が付かなくても、別の販路を持つ業者では査定額が出ることがあります。

査定先は水没の程度で変える

水没車では、すべて同じ業者へ査定を依頼すればよいわけではありません。

例えば、

車内への浸水が比較的軽い。

エンジンや電装系に大きな異常がない。

修理すれば再び使用できる可能性がある。

比較的新しい車である。

という状態なら、通常の中古車買取店も査定候補になります。

一方、

車内まで深く浸水した。

エンジンが停止している。

電装系が使えない。

長時間水につかった。

修理費が高額になっている。

という状態なら、一般的な中古車としての再販より、事故車・水没車・廃車を扱う業者の方が評価できる可能性があります。

つまり、

「どこが一番高いか」を探す前に、「この状態を評価できる業者か」を見る

ことが重要です。

水没した車を査定のためにエンジン始動しない

「動く方が高く売れるのでは」

と考えて、査定前にエンジンがかかるか確認したくなるかもしれません。

しかし、水没した車は自分で始動しないでください。

外から水が引いていても、電装系のショートや火災、エンジン内部への浸水などの可能性があります。

査定を取るために、

「エンジンがかかります」

という状態へ戻す必要はありません。

水没車を扱う業者であれば、

「エンジンは始動していない」

「現在は自走できない」

という状態のまま相談できます。

むしろ無理に始動し、故障を広げれば、残っていた部品価値まで下げる可能性があります。

修理してから売った方が高くなるとは限らない

例えば、

現在の水没状態では20万円査定。

修理すれば80万円で売れそう。

修理費は70万円。

だったとします。

一見すると、

「80万円で売れるようになるなら直した方がいい」

と感じるかもしれません。

しかし、70万円かけて査定額が60万円上がるだけなら、売却するためだけの修理としては合理的とは言いにくいでしょう。

水没歴は修理後も査定上の評価に影響します。

そのため、

売るつもりなら、まず現状査定を取る

方が判断しやすくなります。

修理するのは、その後も自分で長く乗る場合など、別の理由があるときに比較します。

「0円」と言われても1社だけで決めない

水没車を通常の中古車店へ持ち込むと、

「値段は付きません」

「廃車費用が必要です」

と言われることもあります。

しかし、それは、

「車そのものに一切価値がない」

という意味とは限りません。

その店では再販できない。

水没車を流通させる販路がない。

不動車を引き取る設備がない。

といった理由で評価できない場合があります。

実際、水没車や不動車を買取対象としている専門事業者は複数確認できます。

したがって、一つの業者で0円と言われても、

通常中古車の買取。

事故車・水没車の買取。

廃車・解体系の買取。

と少なくとも違う販路を持つ査定先を比べてから判断します。

比較するのは「査定額」ではなく最終受取額

例えば、

A社は10万円買取。

B社は7万円買取。

なら、一見A社が有利です。

しかしA社では、

レッカー代2万円。

手続費用1万円。

が必要なら、手元に残るのは7万円です。

B社が、

引き取り無料。

名義変更・抹消手続無料。

なら、どちらも最終的な手取りは7万円になります。

水没車は自走できないことが多いため、

車両の査定額だけではなく、引き取り後に最終的にいくら受け取れるか

で比較します。

査定時には、

「この金額からレッカー代は引かれますか」

「手続費用は別ですか」

「最終的な振込額はいくらですか」

まで確認すると分かりやすくなります。

査定時には水没した事実を最初から伝える

水没車は通常の中古車より査定額が下がりやすいため、

「言わなければ分からないのでは」

と思うかもしれません。

しかし、水没したことを知っているなら査定時に伝えてください。

中古車の査定基準でも冠水歴は大きな評価項目です。

また、冠水車であることを隠して中古車として販売する表示については、自動車公正取引協議会が不当表示として明確に規制しています。

売る側としても、

いつ水没したか。

車内まで水が入ったか。

どの高さまで来たか。

走行中だったのか駐車中だったのか。

エンジンを始動したか。

海水なのか淡水なのか。

分かる範囲で伝えて査定してもらう方が、後のトラブルを防げます。

契約後に「水没歴が見つかったから減額」とならないためにも申告する

車の売却では、契約後の減額をめぐるトラブルがあります。

国民生活センターも、査定後に修復歴などを理由として買取額を下げるケースについて注意喚起しています。

買取業者が査定で見落とした修復歴などを契約後に理由として減額する場合、消費者が必ず応じなければならないわけではありません。

ただし、所有者自身が水没歴を知っていたなら話は別です。

最初から、

「今回の大雨で水没しています」

と伝えておけば、

「聞いていなかった」

という争いを避けやすくなります。

査定価格は、

水没車であることを申告したうえで確定した金額

として取るのが安全です。

売却契約は金額だけでなくキャンセル条件も確認する

水没車は早く処分したい気持ちが強くなります。

そのため、

「今日決めてもらえればこの金額」

と言われると、その場で契約したくなるかもしれません。

しかし、車の売却はクーリング・オフの対象ではありません。

国民生活センターにも、契約後の高額なキャンセル料や、引き渡し後の買取額減額などの相談が寄せられています。

契約前には、

最終買取額。

引取費。

手続費。

キャンセル料。

いつからキャンセル料が発生するか。

入金時期。

を確認します。

特に複数社を比較する場合は、一社目の査定でそのまま契約してしまうと比較できなくなります。

保険で全損扱いになっている場合は勝手に売らない

車両保険を使っている場合は、もう一つ確認が必要です。

水没車が全損となり保険金を受け取る契約では、車両の所有権や残った車の扱いが保険会社側へ移る場合があります。

その状態で、

「水没車にも値段が付くらしい」

と自分で買取業者へ売却することはできません。

査定を取ること自体についても、まず保険会社へ確認した方が安全です。

車両保険を使う予定なら、

「全損後、この車の所有権は誰になりますか」

「自分で売却してよいですか」

を確認してから進めます。

ローンが残っているなら車検証の所有者も確認する

水没車でもローンが残っていることがあります。

この場合は、車検証上の所有者を確認します。

ローン会社や販売店が所有者になっている車では、自分だけの判断で名義変更や廃車をできない場合があります。

買取業者へ、

「ローンが残っています」

「車検証の所有者が自分ではありません」

と最初に伝えます。

必要な手続きや残債処理を確認してから売却します。

「水没して乗れなくなったからローンもなくなる」ということではありません。

値段が付かなければ「処分費を払う前」に廃車買取も見る

複数の査定を取っても、

通常の中古車価値はない。

部品としても高い値段は付かない。

という車もあります。

それでも、

「処分費を払って捨てる」

とすぐ決める必要はありません。

廃車・解体系では、車体の金属や使用可能な部品を評価して引き取る事業者があります。

そのため比較する最後の数字は、

買取額がいくらか、

だけではなく、

処分するために自分がお金を払うのか、それとも少額でも受け取れるのか

です。

0円買取でも引き取り・手続が無料なら、処分費を支払うより有利な場合があります。

動かない水没車ほど「どこへ売るか」で査定が変わる

水没車の査定で最も重要なのは、

「エンジンがかかるようにすること」

ではありません。

その状態を評価できる相手に出すことです。

軽度の浸水で再販可能なら、通常の中古車市場で価値が残る可能性があります。

一方、深く水没して自走できないなら、部品・資源・海外流通など別の価値を評価できる業者の方が査定しやすくなります。

だから、

「動かないから売れない」

ではありません。

動かない車を買える業者へ査定を出していないだけ

という場合があります。

水没車を手放すと決めたら、

エンジンはかけない。

水没した事実を伝える。

現状のままで査定してもらう。

通常の中古車買取だけでなく、水没車・事故車・廃車系も比較する。

そして、レッカー代や手数料を差し引いた最終受取額を見る。

この順番なら、

「動かないから0円」

と決めつけず、残っている車の価値を確認してから売却できます。

出典

国土交通省|浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ

日本自動車査定協会|中古自動車査定基準及び細則

自動車公正取引協議会|「冠水車」の不当表示に関する改正規約

国民生活センター|車を売る際は要注意!中古車の売却トラブル

国民生活センター|増加する中古自動車の売却トラブル