大雨で駐車していた車が水没した。
水が引いたのでレッカーを呼びたいけれど、
「保険会社へ見せるために、この場所で写真を撮っておいた方がいい?」
と迷うことがあります。
結論からいうと、安全に撮影できるなら、車を動かす前の写真は残しておいた方がよいでしょう。
ただし、
水没時の写真を自分で撮っていなければ、必ず保険請求できなくなるわけではありません。
保険会社によっては、修理工場での現車確認、担当者の立会い、修理工場から送る画像などで損害を確認します。
写真の役割は、
「これがなければ請求できない」
というより、
移動・乾燥・清掃する前の被害状況を残し、保険会社が損害を確認しやすくすること
と考えると分かりやすくなります。
写真がなくても保険請求できないとは限らない
車両保険の請求では、車の損害状況を保険会社が確認します。
その方法は一つではありません。
契約者が撮影した写真で確認する場合。
修理工場が撮影した画像を使う場合。
保険会社の担当者や技術担当者が車両を確認する場合。
などがあります。
そのため、大雨の最中に避難することを優先し、写真を撮れなかったとしても、
「写真がないから保険は使えない」
と決めつける必要はありません。
まず保険会社へ事故連絡をして、
「水没時の写真はありません。現在の車両はこの状態です」
と伝えます。
そこから必要な確認方法を案内してもらいます。
それでも動かす前に写真を残した方がいい理由
水没車は、レッカーで移動すると被害状況の一部が分かりにくくなります。
特に消えやすいのが、
車がどこに置かれていたか。
周囲がどこまで冠水していたか。
ボディーに残った泥や水位の跡。
車内へどこまで水が入ったか。
です。
その後、販売店や整備工場で車内を乾燥させたり、泥を清掃したりすれば、さらに元の状態が変わります。
だから安全に撮影できる状況なら、
車をきれいにする前、修理する前、可能ならレッカーで動かす前
に写真を残しておきます。
ただし、車を動かさなければ交通の妨げになる、再び水位が上がる危険がある、といった場合は移動を優先します。
写真のために危険な場所へ車を置き続ける必要はありません。
最初に撮るのは車全体とナンバープレート
最初から浸水部分だけをアップで撮るより、まず車全体を残します。
保険会社の案内でも、登録番号が確認できる車両全体の写真が求められることがあります。
撮れるなら、
前。
後ろ。
左右。
斜め方向。
など、車全体と周囲の位置関係が分かる写真を残します。
少なくとも1枚はナンバープレートが読める状態にします。
これにより、
「どの車の被害なのか」
と、
「車全体としてどのような状態だったのか」
を一緒に確認できます。
水没車では「どこまで水が来たか」を残す
普通の衝突事故と水没事故で違うのは、水位が重要な情報になることです。
水が引いた後でも、
ドアに泥の線が残っている。
タイヤやボディーに水跡が残っている。
車内の内張りに泥の跡がある。
シートに浸水跡が残っている。
といった状態なら、その部分も撮影します。
水位が分かる跡があるなら、全体が分かる写真と近くからの写真の両方を残します。
ただし、泥を落としたり、メジャーを当てるために水没車へ無理に入り込んだりする必要はありません。
そのまま見える状態を記録すれば十分です。
車内はフロアだけでなくシートや荷室も撮る
安全にドアを開けられる状態なら、車内の浸水範囲も記録します。
例えば、
フロア。
フロアマット。
シート下。
シートの座面。
センターコンソール周辺。
後部座席。
荷室。
などです。
大切なのは、
「車内が濡れている写真」
だけではなく、
水がどこまで到達したのか分かる写真
です。
例えば座面より下までなのか、座面自体にも浸水しているのかでは、影響する範囲が違います。
ただし、水没した車内へ乗り込んで奥まで撮影する必要はありません。
見える範囲で記録し、残りは販売店や整備工場の点検時に撮影してもらいます。
警告灯を撮るためにエンジンや電源を入れない
保険用の記録を増やそうとして、
「メーターにどんな警告が出るか撮っておこう」
とエンジンを始動したり、POWERスイッチを押したりするのは避けます。
水没車は、エンジンや電気系統へ水が入っている可能性があります。
始動操作によって損傷が広がったり、ショートや火災につながったりするおそれがあります。
すでに表示されているものを安全に撮れるなら記録できますが、
写真を撮るために車の電源を入れない
と考えてください。
EV・ハイブリッド車でも同じです。
高電圧システムがあるため、復旧作業や通電確認は販売店などへ任せます。
エンジンルームを開けるために無理をしない
水没車の記事では、
「エンジンルームも撮影しましょう」
という説明を見かけることがあります。
しかし、一般の所有者が保険写真を撮るためだけにボンネットを開けて内部へ触る必要はありません。
水没した車では電気系統に異常がある可能性があります。
特にEVやハイブリッド車では高電圧部品があります。
車外から安全に確認できる、
車体全体。
水位跡。
車内の見える範囲。
周囲の冠水状況。
を優先します。
機械部分の損傷は、販売店・整備工場や保険会社側の確認に任せます。
周囲の冠水状況も1枚残しておく
車だけでなく、周囲も撮れるなら残しておきます。
例えば、
駐車場全体。
道路。
側溝。
近くの建物。
周囲に残った泥や漂流物。
などです。
これにより、
「その車だけが濡れていた」
のではなく、
「周辺一帯が水害を受けていた」
状況が分かります。
ただし、撮影のために冠水した道路へ歩いて戻る必要はありません。
水害時は写真より安全確保が優先です。
安全な場所から撮影できないなら、周辺写真は諦めて構いません。
写真は「多ければ多いほどよい」わけではない
数百枚撮れば保険請求が有利になるわけではありません。
確認しやすい写真を残すことの方が重要です。
例えば、
車全体。
ナンバー。
主な損傷箇所。
水位が分かる場所。
車内の浸水範囲。
周辺の状況。
が分かれば、被害状況をかなり説明できます。
損傷が分かりにくい部分だけは、少し離れた写真とアップ写真の両方を撮っておくと位置関係が分かりやすくなります。
実際に何枚必要か、どの方向から必要かは保険会社によって違うため、事故連絡後の案内にも従ってください。
動画も残してよいが、写真の代わりと決めつけない
スマートフォンなら動画も簡単に撮れます。
車の周囲を安全な場所から撮影すれば、
水位。
周囲の状況。
車内の状態。
をまとめて残せます。
ただし、保険会社の画像提出システムでは静止画を求められることがあります。
そのため動画だけで済ませず、重要な箇所は写真でも残しておく方が使いやすくなります。
動画は補助資料と考えます。
写真を撮った後もすぐ清掃・修理してよいとは限らない
写真が十分撮れたからといって、
「証拠は残したので洗車しよう」
「内装を全部外して乾かそう」
「修理を始めよう」
と進めない方がよい場合があります。
保険会社は必要に応じて現車を確認します。
保険会社が確認する前に修理すると、事故や損害の状態を確認できなくなり、保険金に影響する場合があります。
したがって写真撮影後は、
保険会社へ事故連絡し、次に何をしてよいか確認する
のが基本です。
販売店や整備工場へ運ぶ場合も、
「車両保険を使う予定です」
と伝えておきます。
レッカー移動が必要なら写真のために待たせない
水没場所が危険だったり、道路上に車が残っていたりすれば、早く移動させる必要があります。
この場合、
「まだ写真を全部撮っていないから動かせません」
とする必要はありません。
安全に短時間で撮れるなら、
車全体。
ナンバー。
主な水位跡。
を数枚残します。
それも難しければ、移動を優先します。
搬送先へ到着後に写真を撮り、
「水没現場から安全確保のため先に移動しました」
と保険会社へ説明します。
必要ならレッカー業者や修理工場が撮影した写真を利用できる場合もあります。
すでに車を動かした後でも写真を残す
この記事を読む時点で、
「もうレッカーで運んでしまった」
という人もいるでしょう。
それでも写真を残す意味はあります。
搬送先で、
ボディーに残る水位跡。
泥。
車内の浸水状態。
シートや床。
損傷箇所。
ナンバーを含む車全体。
を撮影します。
そして保険会社へ、
「現場では安全確保のため撮影せず移動した」
と伝えます。
水没した場所の写真がなければ、
ニュース。
自治体の情報。
自分が持っている周辺の写真。
などを勝手に保険資料として代用するのではなく、何が必要か保険会社へ確認してください。
保険会社自身が損害状況を調査します。
写真が撮れなかったからといって水没現場へ戻らない
最も避けたいのは、
「保険請求には写真が必要らしい」
と聞いて、水が残る場所へ戻ることです。
流れのある道路。
マンホールが見えない道路。
増水している河川の近く。
浸水した地下駐車場。
では、撮影より避難が優先です。
写真は損害確認のための資料です。
人の安全より優先するものではありません。
水が引き、安全が確認された後に撮影できる範囲だけ残します。
水没車で残しておきたいのは「修理後には見えなくなる状態」
写真を何枚撮ればいいか迷ったら、
「このあと車を動かしたり乾かしたりしたら、見えなくなるものは何か」
で考えると分かりやすくなります。
特に残しておきたいのは、
水没した場所と車の位置。
車全体。
ナンバー。
ボディーの水位跡・泥跡。
車内の浸水高さ。
シート・床・荷室の状態。
目で確認できる損傷部分。
周囲の冠水状況。
です。
一方、
エンジンが動くか。
電装品が動くか。
高電圧システムに異常がないか。
を確認するために車を始動する必要はありません。
そこは専門家が確認します。
写真より大切なのは「状態を変える前に保険会社へ伝えること」
水没車の保険請求では、写真を残しておくと損害確認がしやすくなります。
しかし、
写真さえ撮れば何をしてもよい
わけではありません。
保険会社が本当に知りたいのは、事故によって車にどのような損害が生じたのかです。
その確認が終わる前に、
修理する。
部品を外す。
車内を大幅に清掃する。
売却する。
解体する。
といったことをすると、元の損害状態を確認できなくなる可能性があります。
したがって水没後の順番は、
安全を確保する。
安全なら車を動かす前の状態を撮影する。
保険会社へ事故連絡する。
必要に応じてレッカーで搬送する。
保険会社の損害確認を受ける。
確認後に修理・売却・廃車を決める。
です。
水没車の写真は、
保険金をもらうためだけの「必須写真」ではなく、消えてしまう被害状況を残しておく資料
と考えてください。
撮れるなら動かす前。
危険なら撮影より避難・移動。
そして、写真の有無にかかわらず、車の状態を大きく変える前に保険会社へ連絡する。
この順番なら、写真を撮ることだけに気を取られず、安全と保険請求の両方を守りやすくなります。
出典
日本損害保険協会|損害保険Q&A「保険金の請求について」 資料を開く
東京海上日動|修理工場に預ける前の車両写真 資料を開く
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アクサ損害保険|事故対応と水害時の写真送信 資料を開く
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