大雨で子どもの迎えに車で行っていい?道路冠水なら無理に出ない

大雨の日に学校や保育園から、

「早めにお迎えをお願いします」

と連絡が来たら、すぐ車を出したくなるでしょう。

ただし、すでに道路が冠水している、川が増水している、これから迎えに向かう地域の危険度が急に高まっているなら、迎え要請があっても無理に車を出すべきではありません。

大雨時に優先するのは、「一刻も早く子どもを家へ連れて帰ること」ではなく、親と子どもの双方が危険な移動をしないことです。

判断するときは、

「迎えに来てと言われたか」

だけではなく、

子どもは今いる場所で安全なのか。そして、そこまで安全に行けるのか。

この2つを分けて考えます。

まず学校や保育園からの連絡を確認する

大雨だからといって、学校や保育園へ独自の判断ですぐ向かう必要があるとは限りません。

施設によって対応は違い、通常保育を続ける場合、保護者への引き渡しに切り替える場合、子どもを施設内で待機させる場合、別の避難場所へ移動する場合があります。

名古屋市では、保育園のある地域に避難情報が出た場合、子どもを避難場所へ移動させることがあります。

その場合は、普段通っている園舎ではなく、指定された避難場所が迎え先になります。

そのため、最初に見るのは道路ではありません。

学校や園から届いているメール、アプリ、一斉配信などで、

「迎えが必要なのか」

「子どもはどこにいるのか」

を確認します。

迎え要請が来ても、道路が冠水していたら無理に出ない

ここが最も迷いやすいところです。

「速やかに迎えに来てください」

という連絡を見ると、多少道路に水があっても行かなければならないように感じます。

しかし、少なくとも災害時の保育所運用では、そのような考え方にはなっていません。

久喜市は、風水害時には保護者へ速やかな迎えを依頼するとしながら、迎えや子どもの引き渡しが危険なら、安全な状況になってから対応するとしています。

園内が安全と判断された場合には、園で子どもが保護者を待つ運用も示されています。

学校でも同様に、状況によって子どもを学校待機に切り替える自治体があります。

したがって、

「迎え要請が来た=冠水道路を通ってでも今すぐ来なければならない」ではありません。

道路が危険なら、施設が指定している連絡方法で迎えが遅れることを伝え、安全な移動が可能になるまで待つ判断があります。

判断するのは「園や学校まで行けるか」だけではない

迎えに行くときは往路だけでなく、子どもを乗せて帰る復路まで考えます。

例えば学校まで10分で着けても、その間に雨が強まり、帰り道で同じ道路が冠水する可能性があります。

つまり、

「今なら学校まで行ける」

だけでは足りません。

迎えに行き、子どもを乗せ、安全な場所まで戻るところまで道路状況が持つか

を見る必要があります。

気象庁の浸水キキクルでは、短時間の大雨による浸水危険度を1km四方ごとに確認でき、10分ごとに更新されています。

また、洪水キキクルでは中小河川について3時間先までの危険度の高まりを確認できます。

現在の雨だけではなく、迎えに行って帰ってくる時間帯まで見て判断します。

冠水が見えている道路には入らない

迎えに行く途中で道路に水がたまっていたら、

「このくらいなら車で通れるのでは」

と考えない方がよいでしょう。

JAFは、実際の冠水路は水深が分からず、アンダーパスなど低い場所には進入しないよう呼びかけています。

実験では一定条件で走行できたケースもありますが、実際の冠水路では水深も水中の状態も分かりません。

マンホールや側溝、路面の異常も水の下に隠れます。

特にアンダーパスは短時間で冠水が深くなりやすいため、大雨時には近づかないことが重要だと気象庁も案内しています。

子どもの迎えという目的があっても、冠水路へ入る理由にはなりません。

引き返す、別ルートに変える、いったん安全な場所で待つ、施設へ状況を連絡する方を選びます。

「子どもが心配」と「子どもが今危険」は分けて考える

親としては、学校や保育園に残っている子どもが心配です。

しかし、

「離れているから心配」

なのと、

「子どもがいる建物そのものが危険」

なのは別です。

学校や保育園が安全を確保でき、職員と一緒に施設内で待機しているなら、親が冠水道路へ入って迎えに行くことで、家族全体の危険を増やすことがあります。

文部科学省の学校防災に関する指針でも、災害時の児童の引き渡しは、児童の安全を確認したうえで、引き渡すことが適切と判断された場合に行う考え方が示されています。

反対に、施設そのものに浸水や土砂災害の危険があり、学校・園から避難先への移動や迎えについて具体的な連絡が来ているなら、その指示に沿います。

大事なのは「とにかく家へ連れて帰る」ではありません。

その時点で、子どもがどこにいれば最も安全かです。

「迎えに行けない」と分かったら放置せず施設へ伝える

道路冠水などで迎えに行けない場合は、何も連絡せず待つのではなく、学校や園が指定している方法で状況を伝えます。

「○○道路が冠水していて向かえない」

「安全なルートを確認している」

「代理で迎えに行ける人を確認している」

など、迎えが遅れることを伝えます。

ただし、大雨時には学校側も児童の安全確認や保護者対応を同時に行っています。

学校によっては電話での問い合わせを控えるよう求めるところもあるため、普段から指定されているアプリ、メール、一斉連絡システムなどがあれば、そちらを優先します。

祖父母や知人に頼む場合も「近いから」だけで決めない

自分が職場から迎えに行けないと、

「近くにいる祖父母にお願いしよう」

と考えることもあります。

ただし、代理の人が安全に行けるかも同じ基準で考えます。

さらに、学校や保育園では、事前登録された人以外には子どもを引き渡さないルールを設けている場合があります。

災害時の引き渡し方法は施設ごとに異なるため、「誰なら代わりに迎えられるか」は平常時に確認しておく方が確実です。

文部科学省も、災害時の引き渡しについて、あらかじめ定めた方法で保護者と連絡し、引き渡し相手を確認する仕組みを示しています。

道路が安全になったら迎えに行く

道路に冠水がなくなったからといって、すぐ安全になったとは限りません。

河川の増水、土砂災害、通行止めが残っている場合があります。

学校や園からの最新連絡に加え、

  • 浸水キキクル
  • 洪水キキクル
  • 自治体の避難情報
  • 道路の通行規制

を確認します。

危険が解消し、安全なルートを確保できたところで迎えに向かいます。

大雨時の迎えは「早さ」より「親子とも安全に会えるか」

学校や保育園から迎えの連絡が来れば、一刻も早く向かいたくなるのは当然です。

しかし、大雨時は「早く迎えに行った親ほど安全」というわけではありません。

子どもが施設内で安全を確保されている一方、親が向かう道路は冠水していることがあります。

その場合は、無理に車を出さない方が安全です。

判断するときは、

迎え要請が出ているか。

子どもが今いる場所は安全か。

迎えに行って戻る道路は安全か。

この3つを分けて確認します。

道路がすでに冠水しているなら、迎え要請があっても冠水路へ入らない。

学校や園へ状況を伝え、子どもの安全が確保されていることを確認し、安全に迎えへ行ける状況を待つ。

大雨のときは「何時までに迎えに行くか」よりも、親子とも無事に会える方法を選ぶことが優先です。

出典

気象庁|浸水キキクル
気象庁「浸水キキクル」

気象庁|洪水キキクル
気象庁「洪水キキクル」

JAF|台風・大雨時のクルマに関する注意点
JAF「台風・大雨時のクルマに関する注意点」

文部科学省|学校等の防災体制の充実について 参考資料5
文部科学省「学校等の防災体制の充実について」

久喜市|久喜市内保育所等の災害時における臨時休園等
久喜市「久喜市内保育所等の災害時における臨時休園等」

名古屋市|災害発生時の保育所等認可施設・事業所での保育
名古屋市「災害発生時の保育所等認可施設・事業所での保育」