激しかった雨が小雨になると、
「今なら帰れるのでは?」
と思うことがあります。
しかし、雨が弱まったことだけで車を出す判断はできません。
すでに降った雨によって道路の冠水が残っていたり、川の水位がまだ上がっていたりすることがあるからです。
帰るかどうかは、雨の強さではなく、
帰宅ルートの道路、河川の危険度、この先の雨
を見て判断します。
雨が弱まっただけでは「帰っていい」の合図にならない
大雨のピークを過ぎると、外の様子は急に落ち着いて見えることがあります。
空が明るくなり、雨音も小さくなれば、「もう大丈夫」と感じやすくなります。
しかし、水害は雨と同時に終わるとは限りません。
国土交通省は、雨が弱まっても、それまで流域に降った雨によって河川の水位上昇が続く場合があると注意を呼びかけています。
特に大きな川では、上流で降った雨が時間をかけて下流へ流れてくるため、自分のいる場所で雨が弱くなった後に危険度が高まることがあります。
そのため、
「雨が弱くなった」
から、
「道路も川も安全になった」
とは判断しません。
まず帰宅ルートに冠水が残っていないか確認する
最初に見るのは、自宅周辺ではなく帰宅する道路です。
職場や店の前の道路で水が引いていても、途中の低い場所やアンダーパスでは冠水が残っていることがあります。
帰宅ルート上に水がたまっている場所があるなら、その道には入りません。
JAFは冠水路について、水深や路面の状態を見た目だけでは判断できず、アンダーパスなどには進入しないよう呼びかけています。(JAF(日本自動車連盟))
国土交通省も、自動車は深い水の中を走行できるようには設計されておらず、冠水道路への安易な進入を避けるよう案内しています。(国土交通省)
したがって、
「さっきより水が減った」
「前の車が通った」
という状態は、帰宅開始の根拠にはしません。
自分が通る道路から冠水が解消し、安全に通れることを確認できるかが重要です。
川沿いを通るなら「雨」より「川」を見る
帰宅ルートに川沿いの道路や橋がある場合は、雨の強さ以上に河川の状況を確認します。
気象庁の洪水キキクルでは、中小河川について、上流に降った雨を含めた3時間先までの洪水危険度を確認できます。(気象庁)
これは、
「自分の場所ではもう小雨だから大丈夫」
という判断を避けるためにも重要です。
気象庁も、上流域に降った大雨は時間をかけて下流へ影響すると説明しています。(気象庁)
川の水位が高い、洪水の危険度が残っている、自治体から避難情報が出ている。
こうした状況なら、雨が弱くても帰宅を急がない方がよい場合があります。
道路冠水と河川の危険は別に確認する
「キキクルが下がったから全部安全」と一つの情報だけで判断するのも避けたいところです。
短時間の大雨によって道路や低地に水がたまる危険を見るのが「浸水キキクル」です。
一方、河川の増水や氾濫の危険を見るのが「洪水キキクル」です。(気象庁)
例えば、
雨が弱まり、道路の水も引き始めた。
しかし近くの川では洪水危険度が高いまま。
ということがあります。
反対に、川から離れていても、低地やアンダーパスに道路冠水が残ることがあります。
帰宅時には「大雨は終わったか」ではなく、
自分が通る場所に、どの種類の危険が残っているか
を見る必要があります。
通行止めがないだけでは「安全」とは言い切れない
道路の規制情報も確認します。
国土交通省の道路情報提供システムでは、通行止めなどの規制や道路画像、道路気象を確認できます。
ただし、国土交通省自身が、情報は5~10分間隔で更新され、掲載されていない規制がある場合や、現地到着までに道路状況が変化する場合があると案内しています。(道路情報提供サービス)
そのため、
「通行止め表示がないから帰れる」
ではありません。
規制情報は「通れる可能性を確認する材料」であって、目の前の冠水を無視して進む許可ではありません。
実際に水が残っている道路を見つけたら、情報上で規制されていなくても進まない判断を優先します。
一度冠水した道は、水が少し残っているなら避ける
大雨の後に迷いやすいのが、
「ほとんど水は引いたけれど、まだ少したまっている」
という状態です。
この場合も、水深を自分で推測して進む必要はありません。
冠水した道路では、水の下の路面や側溝、マンホールなどの状態を確認できません。
実際の豪雨後には、雨が弱まっても冠水が残り、車が通りにくい状態が続いた事例も確認されています。(Room’s Bar)
「もう少し待てば安全に通れる」のであれば、数十分早く帰るために水の残った道路へ入る必要はありません。
安全な迂回路がなければ、その場で待つ選択肢を残します。
帰宅前に「これからまた降らないか」も見る
道路の水が引いたとしても、この後また強い雨が来るなら、帰宅中に状況が変わる可能性があります。
そのため、今の空だけではなく、この先の雨も確認します。
気象庁の浸水キキクルは短時間強雨による浸水の危険度を10分ごとに更新し、実況だけでなく1時間先までの予測も使っています。(気象庁)
「今は弱い」という一点ではなく、
自宅へ着くまで弱い状態が続きそうか
まで見るのがポイントです。
例えば自宅まで40分かかるなら、今後40分前後の帰宅ルート周辺の雨や危険度も確認します。
夜なら帰宅判断をさらに慎重にする
同じ道路でも、昼と夜では冠水を見つけやすさが違います。
夜間は道路全体に水が広がっていても、水面と路面の境目を判断しにくくなります。
豪雨時の体験記事でも、夜間は水深や道路状況が分からず、帰宅を断念したケースが確認できます。(note(ノート))
職場や現在地で安全を確保できるなら、
「雨が弱まったから夜のうちに帰る」
のか、
「明るくなり道路状況を確認しやすくなってから帰る」
のかも比較します。
雨が弱まったことだけを理由に、見えにくい冠水道路へ向かう必要はありません。
帰宅を始めた後に冠水を見つけたら引き返す
出発時には安全だと思っても、途中で冠水が残っていることに気づく場合があります。
そのときは、
「ここまで来たから」
「家まであと少しだから」
と通り抜けようとしません。
冠水した道路を見つけた地点で、そのルートを使う判断をやめます。
安全に引き返せるなら戻り、別の安全なルートを確認します。
迂回路も危険なら、安全に駐車できる場所で再び待つことも選択肢です。
大雨後は、一度決めた「帰宅する」という判断を途中で変更して構いません。
帰っていいのは「雨が弱まったとき」ではなく「帰宅経路の危険が下がったとき」
大雨のピークを越えると、どうしても早く家へ帰りたくなります。
しかし、帰宅判断の基準を雨音だけにすると早過ぎることがあります。
帰る前に確認したいのは、
帰宅ルートの冠水が解消しているか。
河川の洪水危険度が下がっているか。
自宅に着くまで再び強い雨にならないか。
です。
雨が弱くても、道路冠水が残っているなら待つ。
川の水位がまだ上昇しているなら待つ。
再び大雨になる見込みがあり、現在地の方が安全なら待つ。
大雨後の帰宅は、
「雨が止んだか」ではなく「移動の危険が解消したか」
を基準に判断します。