大雨や台風が近づいていると分かったら、思いついた対策から始めるのではなく、「危険になったらできなくなること」から先に済ませます。
最初に自宅の災害リスクと避難先を確認し、まだ雨や風が弱いうちに家の外回りと車を対策します。その後、家の中の家財や非常用品を整え、危険な場所に住んでいる場合は避難が必要になる前に出発できる状態にします。
大まかな順番は次のとおりです。
| 順番 | 確認すること | いつまでに行うか |
|---|---|---|
| 1 | 自宅の浸水・土砂災害リスク、避難先・経路 | 最初に確認 |
| 2 | 窓、雨戸、排水口、屋外の物 | 雨・風が強くなる前 |
| 3 | 車の駐車場所・燃料 | 道路冠水が始まる前 |
| 4 | 家財・重要書類・小型家電 | 安全に動けるうち |
| 5 | 水、食料、停電対策、持ち出し品 | 避難開始より前 |
| 6 | 最新情報を見て避難 | 危険な場所では遅れない |
家や車を守る作業を最後まで終わらせることより、人が安全に避難できる時間を残すことを優先します。
最初に「自宅から避難する可能性があるか」を確認する
家の周りを片付ける前に、ハザードマップを確認します。
見るのは洪水だけではありません。地域によっては、内水による浸水、土砂災害、高潮なども確認します。
特に、
- 自宅が浸水想定区域にある
- 川や用水路の近くにある
- 土砂災害警戒区域にある
- 崖や急斜面の近くにある
- 低い土地や半地下にある
といった場合は、家を守る対策だけでなく避難を前提に準備します。
避難先の場所だけでなく、そこまでの道も確認します。
川沿い、崖沿い、アンダーパス、冠水しやすい低い道路を通らなければならない場合は、別ルートや別の安全な避難先も考えておきます。
大雨になってから避難先を探すのではなく、この段階で「危なくなったらどこへ行くか」まで決めておくことが最初の準備です。
家の外は雨と風が強くなる前に終わらせる
次に、屋外でしかできない作業を先に済ませます。
気象庁は、大雨が降る前、風が強くなる前の備えとして、窓や雨戸を閉めること、側溝や排水口を掃除すること、風で飛ばされそうな物を固定・収納することを挙げています。
例えば、
- 植木鉢や物干し竿を室内へ入れる
- ゴミ箱や自転車などを固定する
- 窓や雨戸を閉めて施錠する
- ベランダの排水口を確認する
- 家の周囲の側溝や排水口の落ち葉・ごみを取り除く
といった作業です。
ただし、雨が強くなってから側溝を掃除したり、屋根や雨どいを確認したりしてはいけません。
「まだ一つ対策が残っている」場合でも、屋外作業が危険になったらそこで終了します。
車は冠水する前に判断する
車が低い駐車場、地下・半地下駐車場、川の近くなどにある場合は、浸水リスクを確認します。
安全な時間帯で、より浸水しにくい駐車場所を確保できるなら、早めの移動を検討します。
重要なのは「いつ移動するか」です。
道路が冠水し始めてから、
「車だけ高い場所へ移そう」
「駐車場に取りに戻ろう」
と車を動かすのは危険です。
JAFは、大雨時には川沿いや海岸沿い、高架下やアンダーパスなど低い場所へ進入しないこと、水位が上がってからの自動車避難は危険であることを案内しています。
国土交通省も、冠水道路を走るとエンジンなどが停止し、車からの脱出が困難になる場合があると注意を呼びかけています。
車を守るための移動は安全なうちだけです。
間に合わなければ、車より人の安全を優先します。
また、停電や交通障害に備えて、まだ安全に給油できる段階で燃料を確認しておく方法もあります。
浸水が心配なら家財は「全部」ではなく優先順位をつける
家の外と車の対策が済んだら、家の中を確認します。
1階への浸水が想定される住宅では、水に弱く、失うと困り、短時間で移動できる物から高い場所へ移します。
例えば、
- 重要書類
- パソコンや記録媒体
- カメラなどの小型家電
- 写真やアルバム
- 衣類や寝具
- 貴重品
などです。
国土交通省も、水害への備えとして、精密電気製品や貴重品、水に濡れると困る物をできるだけ高い場所に置くことを案内しています。
一方、冷蔵庫、洗濯機、大型家具などを、大雨直前に無理して2階へ運ぶ必要はありません。
重い家財の移動に時間を使い、避難が遅れる方が危険です。
「全部守る」のではなく、「今なら安全に守れる物」を先に動かします。
非常用品は「家に残る物」と「持って避難する物」を分ける
停電や断水に備えて、飲料水、非常食、懐中電灯、電池、携帯ラジオ、モバイルバッテリーなどを確認します。
スマートフォンとモバイルバッテリーは充電しておきます。
断水に備え、飲料水とは別に生活用水を準備しておく方法もあります。
一方、避難時に持っていく物は別にまとめます。
常用薬、身分証明書、現金、スマートフォン、充電手段、家や車の鍵など、避難先でも必要になる物は、すぐ持ち出せる場所に置きます。
家財を2階へ移した結果、避難時に必要な物まで取りに戻ることがないようにします。
避難時の荷物は必要最低限にして、両手が使える状態にしておくことも重要です。
「もう少し家を片付けてから」で避難を遅らせない
大雨・台風対策では、家、車、家財の準備には終わりがありません。
物干し竿を片付け、車を移し、家電を2階へ上げても、「あれもやっておこう」と作業を続ければ避難する時間を失います。
2026年5月からの防災気象情報では、警戒レベルとの対応がより分かりやすく整理されています。
危険な場所にいる人は、自治体から警戒レベル3の高齢者等避難や警戒レベル4の避難指示が出た場合に速やかに行動します。
また、避難指示がまだ出ていなくても、警戒レベル3・4相当の防災気象情報が発表された場合は、キキクルや河川の水位情報などを確認し、自ら避難を判断します。
つまり、
「家の対策が終わったら避難する」
ではありません。
「避難すべき段階になったら、家の対策が途中でもやめる」
が基本です。
雨が強くなったら「対策する時間」から「安全を守る時間」へ切り替える
台風が近づく数日前と、すでに激しい雨が降っている時間では、やることが違います。
まだ安全な段階なら、家の外回り、車、家財を対策できます。
一方、
- 道路が冠水し始めた
- 川が増水している
- 暴風で外を歩くのが危険
- 崖から水が噴き出している
- キキクルで危険度が高まっている
といった状況になったら、屋外へ出て対策を追加する段階ではありません。
川や用水路の様子を見に行ったり、車を移動させたり、側溝を掃除したりする行動はやめます。
安全に立退き避難できる状況なら避難し、すでに外への移動が危険なら、その時点でより安全な場所で身を守ります。
前日・当日に迷ったらこの順番で確認する
大雨や台風が近づいてきて「結局、今何をすればよいのか」と迷ったら、次の順番で考えます。
まずハザードマップを見て、自宅にどの災害リスクがあるか、避難が必要ならどこへ行くかを決めます。
次に、雨や風が弱いうちに家の外回りを片付けます。
車に浸水リスクがあるなら、安全なうちに対応します。
その後、浸水すると困る家財を高い場所へ移し、停電・断水への備えと非常持ち出し品を整えます。
最後は気象情報と自治体の避難情報を確認し続け、避難する段階になったら家や車の対策を打ち切ります。
大雨・台風前の準備で最も重要なのは、すべての物を守ることではありません。
家、車、家財を守る作業を「人が安全に動けるうち」に終え、最後に命を守るための時間を残しておくことです。
出典
気象庁|自分で行う災害への備え
気象庁|新たな防災気象情報について(令和8年~)
国土交通省|マイ・タイムライン
国土交通省|水害対策を考える 4-1-4 財産を守る家づくり
国土交通省|台風の前に車両からの脱出手順の確認を!
一般社団法人日本自動車連盟|台風・大雨時のクルマに関する注意点
政府広報オンライン|「レベル4」までに危険な場所から全員避難!防災気象情報を活用して身を守り、早めの備えを