豪雨で駐車場が冠水し、車だけでなく車内のバッグ、衣類、カメラ、仕事道具まで水につかった。
車両保険に入っていれば、こうした荷物も一緒に補償されるのでしょうか。
原則として、車両保険だけで車内に置いたすべての荷物が補償されるわけではありません。
車両保険で補償するのは主に車本体と、その車に固定・装備された付属品です。
車内やトランクに載せた持ち物には、別に「車内身の回り品特約」「車両積載動産特約」「車内手荷物等特約」などを確認します。
しかも、特約を付ければ何でも対象になるわけではありません。
スマートフォンやパソコン、現金、仕事道具などは商品によって扱いが違います。
水没前に確認するなら、「荷物も補償されるか」ではなく、自分が実際に車へ載せている物を一つずつ分けて考えるのがポイントです。
車両保険は車内の荷物を自動では補償しない
まず、車両保険と荷物の補償を分けます。
車両保険は、事故や洪水などで契約車両そのものが損害を受けた場合に備える保険です。
一方、車内に置いていたバッグ、衣類、カメラ、ゴルフクラブなどは「車」そのものではありません。
日本損害保険協会も、こうした身の回り品については、車両保険とは別に補償を設けている場合があると説明しています。
つまり、
車が洪水で水没した
バッグも水没した
場合でも、車両保険に入っているだけで両方が同じ保険から自動的に支払われるとは限りません。
荷物側の補償が付いているかを確認します。
カーナビやドラレコは「荷物」ではなく車両保険側になることがある
車内にある物でも、すべてが身の回り品になるわけではありません。
例えば車に固定・装備された、
カーナビ
ETC車載器
ドライブレコーダー
などは、車の「付属品」として車両保険側で扱う商品があります。
ソニー損保では、カーナビやドライブレコーダーは車両保険で補償するため、車内身の回り品特約では補償しないとしています。
反対に、車内に置いただけのカメラやバッグなどは車両保険の対象ではなく、身の回り品特約側です。
水没した物を見たら、
車に固定・装備されていたか
それとも、
持ち運べる物として車に載せていただけか
を最初に確認すると分けやすくなります。
洪水で車内の荷物が水没しても特約で補償できる商品がある
積載品・身の回り品補償は、衝突事故だけに使う特約とは限りません。
SOMPOダイレクトでは、車両身の回り品補償の支払例として「洪水で車室内の衣類が汚れました」というケースを明示しています。
つまり洪水で、
車が浸水した
車内の衣類やバッグなども水につかった
という事故で、車だけでなく荷物も補償対象になる商品があります。
ただし、すべての保険会社で条件が同じではありません。
契約前には、その身の回り品特約が「洪水・水災による積載品損害」を含むのかを確認します。
車だけ無傷で荷物だけ濡れた場合は答えが変わる
ここが水没事故で見落としやすい境界です。
積載品特約の中には、
契約車両にも事故による損害が発生した
ことを条件とする商品があります。
SOMPOダイレクトでは、偶然の事故で契約車両に損害が生じ、その直接の結果として積載品にも損害が生じた場合が補償対象です。
三井住友海上の車内手荷物等特約も、「契約している車両保険で保険金を支払う事故」による手荷物損害を対象としています。
アクサ損害保険も、車両保険金が支払われる場合に、同じ原因で車内の身の回り品が損害を受けたときに身の回り品保険金を支払う仕組みです。
そのため、
車は高い位置にあって故障していない
窓から雨が入りバッグだけ濡れた
といった状態では、同じように補償されるとは限りません。
「荷物が濡れたか」だけでなく、車自体にもその事故による補償対象の損害があるかを確認します。
洪水と「雨の吹き込み」も同じとは限らない
車内へ水が入ったという結果が同じでも、原因によって扱いが変わる場合があります。
例えばSOMPOダイレクトでは、
洪水で車室内の衣類が汚れたケース
は補償例として示す一方、
風・雨・ひょう・砂塵の吹き込みによる積載品損害
は対象外として示しています。
つまり、
洪水で車ごと浸水した
ことと、
窓の閉め忘れなどで雨が車内へ入り荷物が濡れた
ことは、同じ「水で濡れた荷物」として処理されるとは限りません。
事故原因まで確認する必要があります。
スマホ・パソコンは会社によって答えが違う
積載品特約について特に注意したいのが、普段最も車へ持ち込む可能性が高い電子機器です。
例えば三井住友海上の車内手荷物等特約では、
携帯電話
スマートフォン
ウェアラブル端末
パソコン
などを主な対象外品として挙げています。
SBI損保でも、スマートフォンなどの携帯式通信機器、ノートパソコン・タブレット・ウェアラブル端末などは車内外身の回り品補償特約の対象外です。
SOMPOダイレクトでも、スマホ、携帯電話、パソコン、タブレットなどが対象外品として明記されています。
ところが、すべての商品が同じではありません。
ソニー損保では、現行の公式FAQで車内に置いたスマートフォンが自動車事故によって壊れた場合を車内身の回り品特約の対象例としています。
アクサ損害保険も、身の回り品保険金の例としてパソコンを挙げています。
つまり、
「積載品特約を付けたからスマホも大丈夫」
とも、
「スマホはどの会社でも対象外」
とも言えません。
スマホやパソコンを車へよく持ち込む人ほど、商品名ではなく対象品一覧まで見る必要があります。
現金・貴金属は対象外になる商品が多い
現金も「車に置いていた物」ですが、通常の身の回り品と同じとは限りません。
ソニー損保では、
現金
有価証券
切手
印紙
貴金属
宝石
などを車内身の回り品特約の対象外としています。
SOMPOダイレクトやSBI損保でも、通貨・有価証券、貴金属・宝石などが対象外品として挙げられています。
例えば洪水で財布ごと水没して、
財布そのもの
現金
クレジットカード
が損害を受けたとしても、すべて同じ扱いになるとは限りません。
「バッグの中身も全部補償」と考えないことが重要です。
仕事道具・商品は身の回り品特約で出ないことがある
車を仕事にも使う人は、さらに注意が必要です。
例えば、
販売する商品
営業用の見本品
電動工具
測定器
事業用の備品
顧客から預かった物
などを車に載せている場合です。
SBI損保では、商品・見本品、事業用什器・備品・機械装置・道具、事業に関連して預かった物などを、車内外身の回り品補償特約の対象外としています。
つまり、
趣味で使うカメラ
と、
仕事で使う商品・機材
では同じ「車内の荷物」でも答えが変わる場合があります。
仕事道具を常時積んでいるなら、個人向けの身の回り品特約だけで済むと決めつけず、事業用動産・積載貨物向けの補償が必要か保険会社へ確認します。
補償限度額も商品ごとにかなり違う
特約を付けていても、積んでいた荷物の購入費がすべて戻るとは限りません。
今回確認した現行商品の例では、
SBI損保 1事故30万円限度、自己負担3,000円
損保ジャパン 1事故30万円
三井住友海上 10万円・20万円・30万円から設定
SOMPOダイレクト 10万円・30万円・50万円から設定
アクサ損害保険 10万円限度
など、補償額が異なります。
また、ソニー損保では時価額または修理費の低い方から5,000円の免責金額を差し引く仕組みです。
例えば20万円で買ったカメラを何年も使用している場合、
購入時20万円
だから20万円支払われる、とは限りません。
特約の保険金額だけでなく、時価・修理費・免責金額の扱いを確認します。
車に何を積んでいるかを書き出してから特約を選ぶ
積載品特約が必要かは、「荷物を載せることがある」というだけでは決めにくいところです。
普段積んでいる物を書き出してみます。
例えば、
ゴルフクラブ 20万円
カメラ 15万円
衣類・バッグ 5万円
スマートフォン 10万円
ノートPC 15万円
だったとします。
合計65万円ですが、契約予定の商品でスマートフォン・PCが対象外なら、特約で守れる物は40万円分です。
さらに保険金額が30万円なら、事故時に65万円全部を補償できる契約ではありません。
逆に普段載せているのが数千円程度の衣類や日用品だけなら、特約保険料を払う必要性は相対的に低くなる場合があります。
「荷物を載せるか」ではなく、
何を
いくら分
普段載せているか
から考えます。
水没対策なら「車・付属品・荷物」の3つに分ける
自宅駐車場の水害に備えるなら、車の中にある物を3種類へ分けると整理しやすくなります。
まず車本体。
これは車両保険を確認します。
次に、車へ固定・装備したカーナビやドライブレコーダーなど。
契約上「付属品」となるものは車両保険側を確認します。
最後に、バッグ、衣類、カメラ、ゴルフ用品などの持ち運べる物。
こちらは車内身の回り品特約や車両積載動産特約などを確認します。
さらに、その中から、
スマートフォン
PC
現金
貴金属
仕事の商品・道具
など、対象外になる物を除いていきます。
この順番なら、「車両保険を付けたから車の中も全部大丈夫」という誤解を避けられます。
水害が心配なら車内に置きっぱなしにしない対策もある
積載品特約があっても、すべての荷物を補償できるわけではありません。
特に、
スマートフォン
ノートPC
仕事用データ
現金
貴重品
などは、保険で十分にカバーできない可能性があります。
自宅駐車場に浸水リスクがあるなら、大雨が予想される前に高価な物を車内から出しておく方が確実です。
仕事で常時機材を積んでいるなら、車自体を高い場所へ移す対策も考えます。
保険は水没後の損失を減らす手段ですが、対象外品まで補償対象にはできません。
車内の荷物は「車両保険あり」だけでは判断できない
洪水で車と一緒に荷物が水没しても、車両保険だけですべて補償されるわけではありません。
確認する順番は、
車に固定された付属品か
持ち運べる身の回り品か
その商品で対象外となる物ではないか
洪水が積載品補償の対象事故か
車自体にも補償対象となる損害があることが条件ではないか
保険金額・免責はいくらか
です。
特にスマートフォンやノートパソコンは、保険会社によって対象・対象外が分かれます。
また、仕事道具や商品については個人向けの身の回り品補償では対象外になる商品があります。
車両保険を選ぶときは「車が水没したらいくら出るか」だけでなく、
「その車にいつも何を積んでいるか」
まで見る。
それが、車本体だけでなく水没時の実際の損失を把握する境界です。