大雨になると自宅前の道路に水がたまる。駐車場も道路と同じくらい低い。
こんな場所に車を置いているなら、車両保険を付けた方がよいのでしょうか。
台風・洪水・高潮などによる車の水没を補償する車両保険はあります。
ただし、「浸水想定区域だから付ける」「古い車だから外す」という一つの条件だけでは決めにくいところです。
先に確認したいのは、自宅の住所よりも「いつも車を置いている場所が実際に水につかりやすいか」です。
そのうえで、今の車を失った場合に保険からいくら受け取れるのか、自分のお金だけで代わりの車を用意できるのかを比べます。
家の浸水リスクと駐車場の浸水リスクは同じとは限らない
自宅が洪水ハザードマップで0.5m未満だから、家も車も同じ程度の危険だとは限りません。
住宅は基礎によって床が地面から高くなっています。
一方、車は駐車場の地面に置かれています。
そのため住宅が床上浸水しなくても、駐車場にある車は先に水につかることがあります。
自宅駐車場については、
前面道路より低くないか
道路から駐車場へ下り勾配になっていないか
周囲の土地よりくぼんでいないか
半地下・地下になっていないか
近くに河川・水路がないか
を確認します。
「家が大丈夫そうだから車も大丈夫」とは分けて考えた方がよいでしょう。
洪水だけでなく内水を見る
大きな川から離れた住宅でも、車の水没リスクはあります。
短時間の豪雨で雨水を排水しきれず、道路や宅地に水がたまる内水氾濫があるからです。
国土交通省・国土地理院のハザードマップポータルでは、住所から洪水・内水や高潮などの情報を確認できます。
自宅駐車場の水没を考えるなら、河川洪水だけで終わらせず、自治体の内水ハザードマップや過去の道路冠水情報も確認します。
特に「大雨になると家の前だけ水がたまる」という場合は、広域の洪水想定だけでは分からない局所的な低さがないかを見る必要があります。
駐車場まで水が来た実績があるなら一段重く見る
将来予測だけでなく、実際に起きたことも判断材料になります。
過去の大雨で、
前面道路が冠水した
駐車場入口まで水が来た
タイヤの一部が水につかった
近所の車が移動していた
ということがあるなら、少なくとも「地図上は大丈夫だから」と水没リスクを無視しにくくなります。
自治体によっては、過去の浸水実績や道路冠水地点を公開しています。
土地を買う前なら不動産会社だけでなく自治体情報も確認し、すでに住んでいるなら過去の大雨時に駐車場のどこまで水が来たかを記録しておくと、保険を見直す判断にも使えます。
駐車場が危ないなら車両保険の「洪水」を確認する
自宅駐車場に水没リスクがあると分かったら、車両保険の補償範囲を確認します。
一般的な車両保険には、台風、洪水、高潮などによる損害を補償する商品があります。
また、補償範囲を限定したタイプでも洪水を補償する商品があります。
そのため、水没に備えるためだけに必ず最も補償範囲の広い一般型が必要とは限りません。
一般型と限定型について、
洪水
台風
高潮
が対象になっているかを確認します。
水没以外の自損事故や当て逃げなども含めて、保険料差に見合う方を選びます。
「車両保険あり」だけで安心しない
ここは、自宅駐車場の水没を心配している人に特に重要です。
保険会社・商品によっては、自宅や通常使用している車庫での水災を補償から外せるものがあります。
つまり、
車両保険 あり
と書いてあっても、
自宅駐車場で洪水に遭ったときの水没
まで含まれているとは限りません。
契約前や更新前には、
「普段この車を置いている自宅駐車場が豪雨で浸水した場合も補償されますか」
と確認します。
自宅駐車場の浸水が心配だから車両保険を付けたのに、その場所だけ水災を外していたのでは目的と契約がずれてしまいます。
高台の立体駐車場へ逃がせるならリスクは変わる
自宅駐車場が浸水しやすくても、車を必ずそこに置いたままにする必要があるとは限りません。
自治体によっては、台風や河川氾濫のおそれがあるときに車両を事前退避させる駐車場を確保しています。
西尾市では、市有施設や民間事業所を風水害時の自家用車等緊急避難待避場所として開放しています。
川越市も民間事業者の屋上駐車場などを車両の一時避難場所として指定しています。
海老名市では、相模川氾濫のおそれがある場合に企業の立体駐車場など約7,300台分を確保しています。
こうした仕組みがなくても、近くに高台の駐車場や親族宅など、早い段階で車を移せる場所があるか確認しておく方法があります。
毎回確実に移動できるなら、自宅駐車場に置いたまま水没するリスクは下げられます。
ただし、雨が激しくなり道路冠水が始まってから車を移動させる計画にはしない方がよいでしょう。
冠水してから車を逃がそうとしない
国土交通省は、冠水路で水深が車両の床面を超えると、エンジンや電気装置などに不具合が生じるおそれがあり、最悪の場合は移動できなくなるとしています。
さらに水位が上がると、水圧によって車内からドアを開けることも困難になります。
保険に入っているかどうかとは別に、冠水した道路へ車で入らないことが優先です。
車両避難を対策に組み込むなら、
台風が接近する前
河川水位が上がる前
道路冠水が始まる前
に移動できるかを考えます。
「いざ水が来たら高台へ移せばよい」では、実際には間に合わないことがあります。
車両保険を付けるかは現在の保険金額を見る
駐車場のリスクが高くても、車両保険を付ける価値は車によって違います。
確認するのが現在設定できる車両保険金額です。
車両保険金額は車の市場価格などを参考に設定され、一般に年数が経つにつれて下がります。
例えば、
現在の車両保険金額300万円
と、
現在の車両保険金額30万円
では、水没時に保険へ移せる金額が大きく違います。
「7年乗ったから外す」と年数だけで判断するより、更新時に実際の車両保険金額を確認する方が直接的です。
古い車でも急な買替えが困るなら残す意味はある
車両保険金額が低くなったから、必ず外すべきとも限りません。
例えば車両保険金額が70万円でも、
車がないと通勤できない
翌日から代替車が必要
突然70万円を出すのは難しい
のであれば、全損時に70万円程度を受け取れることには意味があります。
一方で、
車両保険金額30万円
車両保険料が高い
水害リスクの低い高台駐車場
30万円程度なら預貯金から負担できる
という条件なら、自分でリスクを引き受ける選択もしやすくなります。
判断するのは車の年齢ではありません。
「その車を突然失ったとき、保険なしでも次の車を用意できるか」です。
新しい車でも安全な駐車場なら判断は変わる
反対に、新車だから必ず水害対策として車両保険が必要とも言い切れません。
例えば、
高台にある立体駐車場の上階
洪水・内水の浸水想定が低い
過去の冠水実績もない
という保管環境なら、自宅水災リスクだけを理由に車両保険を付ける必要性は相対的に小さくなります。
もちろん事故、盗難、飛来物など水害以外のリスクもあるため、車両保険全体の要否はそれらも含めて決めます。
ここで重要なのは、
高い車=絶対付ける
古い車=絶対外す
ではなく、
車の価値と駐車環境を別々に見てから重ねることです。
洪水で保険を使えば翌年の保険料にも影響する
洪水・台風・高潮などによる車両保険の請求は、一般的なノンフリート等級制度では1等級ダウン事故になります。
そのため、小さな損害なら、
修理費
免責金額
保険を使った後の保険料
を見て、実際に請求するか判断する場合があります。
一方、エンジンや電装系まで大きな被害を受けて全損となった場合は、受け取る保険金も大きくなるため、同じ1等級ダウンでも意味は変わります。
「車両保険に加入するか」と「事故が起きたとき実際に使うか」は分けて考えます。
水没したら新しい車の購入費全額が出るとは限らない
水没した車が修理不能になった場合でも、「次に買う新車の代金が全部出る」という意味ではありません。
基本になるのは契約時に設定した車両保険金額です。
古い車で車両保険金額が50万円なら、全損になったからといって200万円の代替車購入費が自動的に補償されるわけではありません。
水害リスクが高い場所で古い車に乗っている場合には、
車両保険を付けるか
だけでなく、
全損時に保険金+自己資金で次の車を用意できるか
まで確認しておく方が現実的です。
津波は洪水とは別に確認する
沿岸部ではもう一つ注意があります。
台風や低気圧による高潮と、地震による津波は車両保険上の扱いが違います。
通常の車両保険では、台風・洪水・高潮を補償しても、地震・噴火・それらによる津波は対象外としている商品があります。
保険会社によっては、地震・噴火・津波で所定の全損状態になった場合に定額を支払う特約を用意しています。
したがって海に近い自宅なら、
高潮が心配なのか
津波が心配なのか
を分けて契約を確認します。
「水没なら全部同じ車両保険」というわけではありません。
自宅駐車場から判断すると保険の必要性が見えやすい
車両保険を付けるか迷ったら、保険料から考え始めるのではなく、まず自宅駐車場を見ます。
洪水・内水・高潮の想定はどうか。
道路より駐車位置が低くないか。
過去に冠水したことはないか。
大雨の前に車を安全な場所へ移せるか。
そこまで確認して水没リスクが無視できないなら、次に車両保険の契約を見ます。
洪水が対象か。
自宅・車庫の水災を除外していないか。
現在の車両保険金額はいくらか。
免責金額はいくらか。
最後に、その車を突然失った場合、保険なしでも買い替えられるかを考えます。
自宅駐車場が浸水しやすく、事前退避も難しく、現在の車両価値が高く、急な買替費用を自分で負担しにくい。
この条件が重なるほど、車両保険で水没リスクを移す意味は大きくなります。
逆に駐車場所が安全で、早期退避もでき、現在の車両保険金額も小さく、損失を自分で負担できるなら、保険料との比較で外す選択肢が出てきます。
車両保険が必要かを決めるのは、「車が新しいか古いか」だけではありません。
いつも車を置いている場所で、本当に水没する可能性がどれくらい残っているか。
そこから判断する方が、自宅駐車場の水害リスクに合った保険を選びやすくなります。
出典
出典リンク:
国土交通省・国土地理院|ハザードマップポータルサイト
日本損害保険協会|車両保険は、どのような保険ですか
日本損害保険協会|ノンフリート等級別料率制度
三井住友海上|水害・水没は車両保険で補償される?洪水で浸水した場合は?
東京海上ダイレクト|洪水で車が水没した
SBI損保|洪水による損害
SOMPOダイレクト|車両保険
ソニー損保|車両保険金額はどのように決定しますか
国土交通省|水深が床面を超えたら、もう危険!
西尾市|風水害時の自家用車等緊急避難待避場所
川越市|車両の一時的な避難場所