大雨で車が水没し、修理して乗り続けないことは決めた。
次に迷うのが、
「そのまま売れるのか」
「もう廃車にした方がいいのか」
です。
結論からいうと、水没したという理由だけで先に廃車を決める必要はありません。
動かない水没車でも、車種・年式・使える部品などによって買取価格が付くことがあります。
まず現在の状態で査定を取り、そのあとで廃車にした場合の手取りと比べます。
「水没して動かない=廃車」ではない
水没後にエンジンがかからなければ、
「中古車として使えないのだから廃車」
と思いやすくなります。
しかし、買取業者が評価しているのは、再びそのまま道路を走れるかだけではありません。
水の影響を受けていない部品。
ボディー。
ホイール。
金属資源。
海外で再利用できる部分。
などに価値が残る場合があります。
実際、水没車の買取実績には数万円の車だけでなく、高年式車で100万円を超える例もあります。
つまり、
走れないことと、価値がないことは別です。
廃車費用を払う前に、現在の状態の価値を確認する意味があります。
「売却」と「廃車買取」は完全な二択ではない
ここは言葉を整理しておきます。
一般的な中古車売却では、買取業者が車を買い取り、別の所有者へ中古車として流通させることがあります。
一方、廃車買取では、業者が車を買い取りながら、その後は使用済自動車として解体・抹消するケースがあります。
つまり、
「売却する」
か、
「廃車にする」
かだけではありません。
売却した結果、その車が廃車処理される
こともあります。
そのため査定時には、
「この車は中古車として名義変更されるのですか」
「それとも解体して永久抹消する予定ですか」
まで確認すると、税金や手続の扱いも分かりやすくなります。
先に解体せず、まず現状の査定額を確認する
一度解体してしまえば、中古車として売却する選択肢には戻れません。
そのため順番としては、
廃車手続を先に進めるより、現状のまま査定を取る方が判断しやすくなります。
例えば、
一般の中古車買取では0円。
水没車専門の買取では8万円。
廃車買取では5万円で、引取・手続無料。
という結果になることがあります。
最初の0円査定だけを見て廃車にしていれば、残っていた価値を確認できません。
特に水没車は買取業者によって出口が違います。
一般中古車として再販する会社。
海外へ輸出する会社。
中古部品として利用する会社。
解体して資源化する会社。
があります。
だから1社の「値段が付かない」で処分を決めない方がよいでしょう。
動かない車でも「一般買取と廃車買取の両方」を比べる余地がある
SERPでは、
「動くなら一般買取」
「動かないなら廃車買取」
という分け方もあります。
分かりやすい基準ですが、必ずそこで線を引く必要はありません。
高年式の人気車なら、自走不能でも部品や輸出向けとして高く評価する業者があります。
反対に、走れる状態でも古く、水没歴が深ければ一般買取ではほとんど値が付かない場合があります。
したがって境界は、
動くかどうかより、どの販路なら一番高く評価できる車なのか
です。
迷うなら、一般の車買取と事故車・水没車・廃車系の双方から査定を取ります。
査定額ではなく「最終的に手元へ残る金額」で比べる
例えば、
A社の査定額は10万円。
B社の査定額は7万円。
だったとします。
これだけならA社です。
しかしA社は、
レッカー代2万円。
手続代行費1万円。
が必要。
B社は車両引取も手続も無料。
なら、どちらも最終的な受取額は7万円になります。
水没車では自走できないケースが多いため、特に、
車両査定額。
引取費・レッカー費。
名義変更・抹消手続の費用。
その他の手数料。
を確認します。
査定時には、
「全部差し引いて、私が最終的に受け取る金額はいくらですか」
まで聞いておくと比較できます。
廃車にするなら税金の戻りも手取りに入れる
廃車側には、車そのものの買取額以外に戻るお金がある場合があります。
例えば登録車では、抹消登録をすると自動車税の未経過分が月割で還付されます。
ただし単に名義変更して売却しただけでは、月割還付にならない扱いがあります。
また、使用済自動車を適正に解体して永久抹消等を行い、車検の残存期間が1か月以上ある場合には、自動車重量税の還付対象になる制度があります。
そのため、
「売却7万円」
と、
「廃車買取5万円」
だけを比べるのでは足りません。
廃車側が、
廃車買取5万円。
自動車税の還付。
重量税の還付。
引取・手続無料。
なら、最終的には廃車側の手取りが上になる可能性もあります。
逆に、業者が還付金相当額を査定価格へ含めている場合もあります。
査定時には、
「税金の還付は私に別で戻りますか」
「買取価格に含まれていますか」
「還付請求権を業者へ譲る契約ですか」
まで確認します。
重量税は「売っただけ」では還付されない
自動車重量税は特に間違えやすいところです。
車検が残っている車を中古車として売っただけでは、廃車還付の対象にはなりません。
自動車リサイクル法に基づいて車が適正に解体され、永久抹消登録・解体届出と同時に還付申請を行うことが基本条件です。
つまり、
「車検が1年残っているから、売却すれば重量税も戻る」
とは考えない方がよいでしょう。
廃車買取を選ぶ場合も、
誰が最終所有者として還付を受けるのか。
その相当額は査定額へ含まれているのか。
を契約前に確認します。
本当に廃車にするなら登録された引取業者へ渡す
査定を比べた結果、
売却価値がほとんど残っていない。
今後使用する予定もない。
解体・抹消した方が合理的。
となれば、使用済自動車として廃車へ進みます。
自動車リサイクル法では、使用済自動車は都道府県等の登録を受けた引取業者へ引き渡す仕組みです。
引き渡した際には引取証明書が発行されます。
単に、
「安く処分してくれそうだから」
というだけで相手を決めるのではなく、適正なリサイクルルートで処理されることも確認します。
廃車買取なら「お金を払って処分」とは限らない
「廃車」という言葉から、
処分費用を払うもの。
と思うかもしれません。
しかし、解体する車でも資源・部品として価値があるため、廃車買取という形で金額が付くことがあります。
水没車の実際の買取例でも、1万円程度から100万円を超えるものまで確認できます。
つまり廃車を選ぶ場合でも、
「処分業者へお金を払う」
以外に、
「廃車する車として買い取ってもらう」
選択肢があります。
一般買取で0円と言われた後に、廃車買取の査定を取る意味がここにあります。
車両保険で全損になっているなら先に保険会社へ確認する
車両保険を使う場合は、査定へ出す前に保険会社へ確認してください。
契約・特約によっては、全損保険金の支払いに伴って車の所有権を保険会社が取得するものがあります。
その場合、自分の判断で別の買取業者へ売ることはできません。
全損と言われたら、
「この車の所有権は私に残りますか」
「自分で売却または廃車にしてよいですか」
を先に確認します。
保険会社が引き取る契約なら、売却・廃車の比較そのものが不要になる場合があります。
売るなら水没したことを最初から伝える
売却する場合は、水没歴を隠さず査定へ出します。
冠水車は中古車市場では通常車と明確に区別される重要な車両状態です。
査定時には、
どこまで水が来たか。
車内まで浸水したか。
淡水か海水か。
駐車中か走行中か。
エンジンを始動したか。
を分かる範囲で伝えます。
国民生活センターも、売却時に事故歴・修復歴などを知っている場合は査定時に申告するよう案内しています。
また、自動車の売却には原則クーリング・オフがありません。
複数社を比較するなら、一社目の査定時に急いで契約せず、キャンセル条件や入金時期まで確認してから決めます。
「0円査定」になったところが廃車を決める境目ではない
一般買取で0円と言われた。
だから廃車。
ではまだ早い場合があります。
見るべきなのは、
一般買取ではいくらか。
水没車・事故車専門ではいくらか。
廃車買取ではいくらか。
廃車時に戻る税金はいくらか。
引取・手続費用はいくらか。
です。
これを全部そろえた結果、
売却して残る金額より、解体・抹消まで含めた方が条件がよい。
あるいは買取価値がほとんどなく、今後使用する予定もない。
となったところで、初めて廃車を選びます。
水没車は「査定してから廃車」で遅くない
水没した車を見ると、
「こんな状態では売れない」
「早く廃車にしなければ」
と思うかもしれません。
しかし、解体してしまえば買取可能性を後から確認することはできません。
まず現状のまま査定を取る。
一般買取だけでなく、水没車・事故車・廃車買取にも聞く。
引取費や手数料を差し引いた最終受取額を確認する。
そして、抹消した場合の税金の扱いまで含めて比べる。
その結果、
価値が残っているなら売る。
使用済自動車として処理する方が手取りも手続も合理的なら廃車にする。
この順番なら、
「売れる車を先に処分してしまった」
という判断を避けられます。
水没車は、
廃車か売却かを先に決めるのではなく、売却できる価値がどれだけ残っているかを確認してから処分方法を決める
のが基本です。