水没車を売ろうとすると、
「A社は12万円」
「B社は10万円」
のように査定額が提示されます。
この場合、12万円のA社を選びたくなります。
しかし、水没車の買取業者は査定額だけで決めない方がよいでしょう。
車が動かなければ引取費用がかかる可能性があります。
廃車手続きの代行費用が必要な業者もあります。
さらに、自動車税や重量税、自賠責保険などの戻るお金を「買取価格とは別に受け取れる業者」と「査定額に含めて提示する業者」があります。
比較するのは、
買取額+別に受け取れる還付・返戻金-自分が支払う費用
です。
水没車では、この「最終手取り」をそろえてから業者を選びます。
水没車買取4社を「査定額以外」で比較する
2026年9月時点で、水没車・事故車・不動車の買取を明示している主要サービスを、公表条件で比較すると次のようになります。
| 業者 | 水没車 | 引取・レッカー | 手続費用 | 還付金等の扱いで確認したい点 |
|---|---|---|---|---|
| カーネクスト | 対応 | 無料 | 無料 | 自動車税は別途受取。重量税・自賠責返戻金は買取価格に考慮 |
| 廃車王 | 対応 | 原則無料 | 無料 | 買取価格とは別に税金・保険の還付を案内 |
| タウ | 対応 | 無料 | 無料 | 手続方法に応じ、自動車税・重量税・自賠責などを別途確認 |
| ソコカラ | 対応 | 無料 | 無料 | 自動車税は別途受取。重量税・リサイクル料金相当額は買取価格に含めて提示 |
この表だけを見ても、「全部無料だからどこでも同じ」ではないことが分かります。
特に差が出るのが、還付金の見せ方です。
だから実際の査定では、
「査定額はいくらですか」
だけではなく、
「すべての費用と還付金を含めて、最終的に私の手元へいくら残りますか」
と聞きます。
「レッカー無料」は水没車でも本当に無料か確認する
動かない水没車では、引取条件が重要です。
主要な水没車・事故車系業者では無料引取を掲げているところが多くあります。
ただし、「無料」の範囲が同じとは限りません。
例えば廃車王は「引き取り原則無料」としており、保管場所が狭い、通常の積載車で入れない、対応エリア外など、引取が困難な場合には別料金のレッカーを利用するか、引取自体を断る場合があるとしています。
水没車では、
地下駐車場にある。
立体駐車場にある。
泥にはまって動かせない。
道路から離れた場所にある。
タイヤが回らない。
といった通常の不動車とは違う条件もあります。
そのため査定時に、
「車は動きません」
だけで済ませず、
「この保管状況で引取費用は本当に0円ですか」
まで確認します。
あとから特殊搬出費を引かれるなら、最初の査定額が高くても手取りは下がります。
「廃車手続き無料」でも何をしてくれるか確認する
水没車を使用済自動車として処理する場合、解体後には永久抹消などの手続きが必要になります。
今回確認した主要4社は手続き費用を無料としています。
しかし比較時には、
名義変更だけなのか。
一時抹消するのか。
永久抹消まで行うのか。
重量税の還付申請まで行うのか。
自賠責保険の解約は誰が行うのか。
を確認します。
理由は、手続方法によって戻るお金が変わるからです。
「手続無料」という言葉だけでなく、
売却後にその車をどう処理する予定なのか
まで聞いておくと還付金との関係が分かります。
自動車税は「普通車を抹消するか」で変わる
普通車の自動車税は、年度途中に抹消登録されれば翌月以降分が月割で還付されます。
しかし、中古車として別の所有者へ名義変更するだけなら還付されません。
例えば査定額10万円と言われた場合でも、
その10万円とは別に自動車税が自分へ戻るのか。
査定額に自動車税相当額が含まれているのか。
そもそも名義変更なので税務上の還付は発生しないのか。
で最終手取りが変わります。
業者へは、
「この車は名義変更ですか、抹消ですか」
「自動車税は私へ県から直接還付されますか」
と確認します。
軽自動車は自動車税の月割還付を足さない
軽自動車では計算が変わります。
軽自動車税には月割制度がないため、年度途中に廃車してもその年度分の税金は月割で戻りません。
そのため普通車の比較例を見て、
「自分の軽自動車にも自動車税の還付が数か月分ある」
と計算しないようにします。
軽自動車を比較するときは、自動車税の還付を最終手取りへ足さず、重量税や自賠責などほかの項目を確認します。
重量税は「査定額とは別にもらえる」と決めつけない
重量税も比較で間違えやすい項目です。
自動車重量税の廃車還付は、車が自動車リサイクル法に基づいて適正に解体され、永久抹消登録または解体届出と同時に還付申請され、車検残存期間が1か月以上ある場合などに受けられます。
単に中古車として売却しただけでは還付されません。
さらに買取業者によって表示方法が違います。
カーネクストは重量税還付金を考慮して買取価格を算出するとしています。
ソコカラも重量税相当額を買取価格へ含めて提示しています。
一方、別途還付として案内する業者もあります。
つまり、
査定10万円+重量税2万円
と計算してよい業者もあれば、
査定10万円の中に重量税相当額がすでに入っている
業者もあります。
比較表を作るときは、二重に足さないことが重要です。
自賠責保険も「査定額の外か中か」を確認する
車検が残っている車なら、自賠責保険にも未経過期間が残っている可能性があります。
解約条件を満たせば返戻金が発生することがあります。
しかしこれも業者によって、
所有者が自分で解約して受け取る。
業者が手続を案内する。
返戻金相当額を査定へ織り込む。
という違いがあります。
比較するときは、
「自賠責の未経過分は、この査定額に含まれていますか」
と確認します。
水没車で特に避けたいのは、
A社の「還付込み12万円」と、
B社の「車両10万円+還付3万円」
をそのまま12万円対10万円で比べることです。
実際はB社の方が1万円多い可能性があります。
例えば査定額が高い業者が負けることもある
仮に2社から次の条件を提示されたとします。
A社は査定12万円。
特殊な引取費用2万円。
重量税・自賠責相当額は査定額に含まれている。
自動車税2万円は別に還付。
最終手取りは12万円です。
一方B社は査定11万円。
引取無料。
重量税1万円、自賠責1万円、自動車税2万円が査定とは別に受け取れる。
なら最終的には15万円です。
最初の査定額だけならA社が高い。
しかし実際に残る金額ならB社です。
水没車の買取比較で必要なのは、この計算です。
カーネクストは「還付金込み・別」を分けて見る
カーネクストは、水没車・不動車も買取対象としており、引取費用と廃車手続き代行費用を無料としています。
比較時に特に確認したいのは還付金です。
自動車税については、条件を満たす普通車なら都道府県税事務所から所有者が直接受け取れるよう手続きをするとしています。
一方、自賠責保険の返戻金と重量税の還付金については、買取価格を算出する際に考慮するとしています。
したがって、カーネクストの査定額を他社と比べるなら、
重量税と自賠責相当額をもう一度査定額へ足さない
ようにします。
廃車王は「原則無料」の例外まで見る
廃車王は水没車を明示的に買取対象としています。
廃車手続きは無料、引取は原則無料で、自動車税・重量税・自賠責保険の還付も買取価格とは別に案内しています。
比較上分かりやすい形ですが、引取費用には例外があります。
保管場所が狭いなど、通常の引取が困難な場合には別料金が発生したり、対応できなかったりする可能性があります。
そのため、深く水没してタイヤも動かない車や特殊な場所にある車では、
「今回の現場でも無料か」
を査定時に確認します。
キャンセルについても、公式案内では車両を加盟店へ引き渡す前なら手数料無料ですが、引き渡し後は対応できない場合があります。
複数社比較をするなら、車を渡す前に終わらせます。
タウは「査定・レッカー・書類0円」と還付を分けやすい
タウは事故車・水没車を専門的に扱い、公式には査定費用、レッカー代、書類手続きの費用を0円としています。
また、自動車税などの還付金について、買取額とは別に確認できる仕組みを用意しています。
ただし、重量税などは車両をどう処理するかによって還付対象が変わります。
したがって査定時に、
「この車は一時抹消・永久抹消・名義変更のどれになる予定ですか」
と確認します。
タウのように実車査定を多く行う業者と、電話・オンライン中心の業者では査定方法にも違いがあります。
水没の程度を電話だけでは説明しにくい場合には、査定方法も比較材料になります。
ソコカラは「重量税等込み」で最終手取りを計算する
ソコカラも水没車・不動車を買取対象としており、査定、引取、レッカー、廃車手続きを無料としています。
比較時のポイントは、重量税やリサイクル料金の扱いです。
公式ページでは、これらの相当額を買取価格に含めて提示するとしています。
一方、普通車の自動車税は抹消後に所有者が税事務所から受け取る形です。
したがって、
ソコカラ査定12万円。
重量税1万円。
だから13万円。
とは計算しません。
重量税相当分は12万円へ含まれている前提で、自動車税など別に受け取れるものだけを足します。
また公式には、契約後に提示した買取金額を変更しないとしています。
水没車のように後から状態差が出やすい車では、査定後の減額条件も確認したいポイントです。
4社のうち「ここが一番」とは査定前に決められない
公表条件だけを見ると、主要な水没車買取業者はいずれも、
水没車対応。
引取無料または原則無料。
手続き無料。
という条件が並びます。
それでも査定額は同じになりません。
各社が持つ、
海外輸出ルート。
中古部品販売。
オークション。
解体・資源リサイクル。
地域の引取ネットワーク。
が違うからです。
新しい人気車なら海外・中古部品価値を高く見る会社が有利になることがあります。
古い車なら解体・資源価値を直接評価できる会社が強い場合があります。
したがって、水没車では「おすすめ1位」を先に決めるより、
条件の違う2~3社へ同じ情報を伝えて査定してもらう
方が現実的です。
査定時は同じ質問を全社にする
業者比較では、聞く内容をそろえます。
「車両本体の買取額はいくらですか」
「この保管状態でも引取・レッカー代は無料ですか」
「特殊搬出費は発生しませんか」
「名義変更・抹消・解体の手続費用はすべて無料ですか」
「この査定額に重量税、自賠責、リサイクル料金などは含まれていますか」
「別に私が受け取れる還付金はいくらですか」
「すべて差し引いた最終受取額はいくらですか」
まで確認します。
この条件をそろえれば、初めて業者ごとの数字を比較できます。
水没車の買取業者は「最終手取り」で選ぶ
水没車では、
「15万円で買います」
という数字だけを見て契約しない方がよいでしょう。
比較するのは、
車両の買取額。
自分へ別に戻る自動車税など。
重量税・自賠責等が査定額に含まれているか。
レッカー・特殊搬出費。
廃車・名義変更などの手続費用。
です。
最後に、
買取額+別途受取額-支払費用=最終手取り
にします。
査定額が一番高い会社と、実際に一番お金が残る会社は同じとは限りません。
水没車の業者比較で見るべきなのは「高価買取」という表示ではなく、
「全部終わったあと、自分の口座に合計いくら残るのか」
です。
出典
カーネクスト|廃車買取業者
廃車王|水没車買取
タウ|ご売却までの流れ・還付金
ソコカラ|車買取・廃車サービス
国税庁|使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度
愛知県|自動車税Q&A 2
岡崎市|軽自動車税