大雨や洪水で水に浸かった家電は、表面が乾いた後でも自分で電源を入れて動作確認しないでください。
内部に水分が残っているだけでなく、泥や塩分などが付着していることがあります。電気を通した瞬間に漏電、ショート、発煙、発火が起こるおそれがあるためです。
「完全に乾かせば使える」という判断でもありません。水に浸かった家電はメーカーや販売店へ相談し、点検・修理を受けてから再使用できるかを判断します。
一方、家が浸水しても、水に触れていない家電まで一律に廃棄する必要があるわけではありません。
大切なのは、「水に浸かった家電」と「浸水を免れた家電」を分け、さらに家のコンセントや配線が安全かを確認してから電気を戻すことです。
水に浸かった家電は乾いていても通電しない
冷蔵庫や洗濯機の下部が水に浸かったものの、水が引いた後は普通に乾いて見えることがあります。
それでも電源プラグを差して「動くかどうかだけ試す」のは避けます。
家電の内部には基板、モーター、配線、端子などがあります。外側が乾いていても内部に水が残っているかは外から確認できません。
さらに、洪水や内水氾濫で入り込む水はきれいな水とは限りません。
泥、砂、汚れなどが内部へ入り込むと、水分が乾いた後にも異物が残ります。高潮や津波などで塩分を含んだ水に浸かった場合も同様です。
その状態で電気を通すと、正常に電気が流れず漏電や発火につながる可能性があります。
一度電源が入り正常に動いたとしても、「安全に使い続けられる」と確認できたことにはなりません。
「何日乾かせば使える」という日数では判断できない
浸水後に迷いやすいのが、「3日」「1週間」など十分に乾かせば使えるのではないかという点です。
しかし、家庭で確認できる乾燥状態だけを基準に、再通電できる日数を決めることはできません。
問題になるのは表面の水分だけではないからです。
内部まで水が入ったのか、泥や砂が入り込んでいないか、電気部品や端子が影響を受けていないかは、外観だけでは判断できません。
したがって、
| 状態 | 通電の判断 |
|---|---|
| 家電本体が水に浸かった | 自分では通電せず点検を依頼する |
| 水をかぶり内部へ入った可能性がある | 自分では通電せず点検を依頼する |
| エアコン室外機などが冠水した | 使用せず点検を依頼する |
| 家電は浸水していない | 配線・コンセントなどの安全を確認してから復帰を検討する |
| 浸水したか分からない | 試運転せずメーカー・販売店へ確認する |
「乾燥したか」ではなく、「水の影響を受けた電気部品を安全に使用できることが確認できたか」で考えます。
少ししか水に浸かっていなくても自己判断しない
家電全体が水没した場合だけが問題になるわけではありません。
例えばエアコンの室外機では、メーカーが浅い浸水であっても内部部品へ影響が生じている可能性があるとして、点検を求めています。
冷蔵庫や洗濯機も下部にモーター、圧縮機、配線などの部品が配置されている機種があります。
そのため、「床上5センチ程度だから大丈夫」「上半分は水に浸かっていない」という水位だけでは安全を判断できません。
どの高さに電気部品があるかは製品ごとに異なります。
水がどこまで来たか分かる写真を残し、メーカーや販売店へ製品名・型番と浸水した高さを伝える方が確実です。
家電が無事でもコンセントや配線が浸水していれば電気を戻さない
家電だけを見てはいけません。
床上浸水した住宅では、壁のコンセント、延長コード、電源タップ、屋内配線などにも水が入っている可能性があります。
家電が高い場所にあり水に触れていなくても、その家電をつなぐコンセント側が浸水していれば安全とは判断できません。
水に浸かった配線類も、そのまま通電すると漏電や故障の原因になります。
特に、まだ床に水が残っている、分電盤やコンセントまで水に浸かった、濡れた場所で電気設備へ触れる必要がある、といった状態では自分で復旧操作をしない方が安全です。
電気工事店などに住宅側の電気設備を確認してもらいます。
停電が復旧しても家の電気をすぐ全部戻さない
水害時には地域全体が停電することがあります。
停電している間は浸水した家電に異常が見えなくても、電力が復旧するとコンセントにつながった機器へ再び電気が流れます。
これが浸水した機器や破損した機器だった場合、復旧時の通電が火災につながることがあります。
避難時に安全に操作できる状況なら、ブレーカーを切り、家電のプラグを抜いておくことが通電火災対策になります。
ただし、分電盤そのものが水に浸かったり、周囲にまだ水が残っていたりする場合は、無理に触れません。
「地域の停電が復旧した」と「自宅で安全に電気を使用できる」は別の話です。
浸水を免れた家電なら状態を確認して1台ずつ戻す
水に浸かった家電と、浸水を免れた家電では対応が異なります。
家の電気設備に問題がなく、家電本体も水に浸かっていない場合は、外観を確認したうえで電気を戻していきます。
電源プラグやコードの破損、焦げた跡、転倒や衝撃による破損などがないかを確認します。
問題が見当たらなければ、家中の家電を一斉に接続するのではなく、1台ずつ電源プラグを差して状態を確認します。
異音、異臭、煙、エラー表示、異常な発熱などがあれば、すぐ使用を中止します。
この手順は「水に浸かった家電を試運転する方法」ではありません。
対象になるのは、浸水や損傷を免れた家電です。
ここを混同しないことが重要です。
冷蔵庫や洗濯機も「とりあえず動かす」は避ける
水害後は生活を戻すために、冷蔵庫や洗濯機を早く使いたくなります。
しかし、必要性が高い家電だからといって安全確認を省くことはできません。
冷蔵庫なら、水に浸かった本体の再使用可否と、中に残った食品をどうするかは別に判断します。
洗濯機も、外装が乾いていて回転槽に異常が見えないことだけでは、下部のモーターや電気部品まで無事とは判断できません。
エアコンも室内機が濡れていなくても、屋外にある室外機が冠水していることがあります。
給湯器や電気温水器、エコキュートなど屋外に設置されている設備についても、水に浸かった場合は自己判断で再通電せず、メーカーや施工店へ点検を依頼します。
自分で分解して乾かしてから試す方法も避ける
「カバーを外して中を乾かせば安全になる」と考えることもあります。
しかし、家庭で分解しただけでは、どの部品が水の影響を受けたのか、絶縁性能に問題がないかまで判断できません。
泥を洗い流したり、ドライヤーなどで乾燥させたりした後に電源を入れる方法も、安全確認の代わりにはなりません。
再使用できる可能性がある製品であっても、先に試運転するのではなく、メーカーや販売店へ点検できるか相談します。
点検結果によって修理するのか、買い替えるのかを決めます。
メーカーによっては、冠水した家電について漏電の危険性が高いことから買い替えを推奨している場合もあります。
修理か買い替えかは通電する前に決める
「動けば修理しない」「動かなければ買い替える」という確認方法は適切ではありません。
浸水した製品では、その動作確認自体に危険があります。
まずメーカーや販売店へ、製品の種類、型番、どこまで水に浸かったか、泥水か海水か、浸水したときに通電していたかなど、分かる範囲を伝えます。
そこで点検可能か、修理可能かを確認します。
修理費用と製品の年数によっては、新しい家電へ買い替えた方が現実的な場合もあります。
被害を受けた家電を処分する予定でも、火災保険などの請求を考えている場合は、先に被害状況を写真で残しておくと確認資料になります。
水害後は家電より先に「電気を流してよい家か」を確認する
水害後に最初に判断したいのは、「この冷蔵庫は動くか」ではありません。
まず住宅の配線、分電盤、コンセントに水の影響がないかを確認します。
そのうえで家電を、
「水に浸かったもの」
と
「浸水を免れたもの」
に分けます。
水に浸かったものは、乾燥後であっても自分で通電せず、メーカーや販売店へ点検を相談します。
浸水を免れたものは、住宅側の電気設備と家電の外観に異常がないことを確認し、1台ずつ電気を戻します。
大雨の後に家電が乾いて見えても、「試しにコンセントを差してみる」ことを安全確認の方法にしないことが重要です。
出典
一般財団法人家電製品協会|家電製品の災害時の注意点
独立行政法人製品評価技術基盤機構|製品安全情報マガジン Vol.508 9月8日号「地震発生時や復旧時の製品事故」
経済産業省|停電時の発電機によるCO中毒や、復旧後の通電火災に注意!
パナソニック|水害発生時の家電製品取り扱いの注意点
日立グローバルライフソリューションズ|災害時における家電製品のお取り扱いについて
ダイキン工業|水害などで室外機が水に浸かった場合(ルームエアコン)