自宅の水害リスクはどう調べる?|ハザードマップ・地形・浸水履歴・周囲の高低差を確認する

自宅の水害リスクを調べるなら、ハザードマップだけを見て終わらせず、

ハザードマップ
↓
土地の地形
↓
過去の浸水履歴
↓
自宅と周囲の高低差

の順に重ねて確認します。

ハザードマップは「想定される水害」を知る資料です。

一方、地形を見ると水が集まりやすい土地か、浸水履歴を見ると実際に過去に水が来た地域か、周囲の高低差を見ると同じ地域の中でも自宅へ水が集まりやすい場所かが分かります。

この4つを合わせることで、「自宅がハザードマップで何色か」から一段進み、「大雨になったとき、自宅ではどこからどの程度の水害を受ける可能性があるか」まで考えられます。

最初は住所をハザードマップへ入れる

最初に確認するのは、国のハザードマップポータルサイトと市区町村のハザードマップです。

住所を入力すれば、自宅周辺について、

  • 洪水
  • 内水氾濫
  • 高潮
  • 津波
  • 土砂災害

などの情報を確認できます。

水害だけを見る場合でも、洪水だけで終わらせないことが重要です。

洪水は、河川が氾濫して水が広がる水害です。

内水氾濫は、短時間の大雨などで下水道や排水路から雨水を排出しきれず、市街地などに水がたまる現象です。

川から離れている家でも内水氾濫は起こり得ます。

海に近い地域では高潮や津波も別に確認します。

ハザードマップでは「浸水するか」だけでなく深さを見る

自宅に色が付いていたら、想定される浸水深を確認します。

洪水浸水想定区域では、想定し得る最大規模の降雨によって河川が氾濫した場合について、浸水区域だけでなく想定される水深などが公表されています。

例えば、

想定浸水深自宅で考えること
0.5m未満床や玄関の高さによっては床上まで達するか確認
0.5~3m未満1階の居住部分まで浸水する可能性を考える
3~5m未満2階にも影響する規模を想定する
5m以上建物上階まで浸水する規模として考える

という見方ができます。

ただし、地図上の浸水深は「自宅の床から何センチ水が来る」という意味ではありません。

自宅が道路より高いのか低いのか、1階床が地盤からどの程度上がっているかによって実際の室内への影響は変わります。

そのため、後で周囲との高低差も確認します。

浸水継続時間と家屋倒壊等氾濫想定区域も見る

洪水リスクがある地域では、最大浸水深だけでなく浸水継続時間も確認します。

水が50cm程度来ても短時間で引く場所と、長時間にわたって浸水する場所では、被災後の生活への影響が違います。

自宅の2階などへ移動して命を守れても、周囲の道路が長時間水没すれば外へ出られない可能性があります。

また、川の近くでは「家屋倒壊等氾濫想定区域」も確認します。

これは単に室内へ水が入るかという問題ではなく、強い氾濫流や河岸侵食によって建物そのものが影響を受ける可能性を考える区域です。

この区域に入る場合は、「何階まで水が来るか」だけでは水害リスクを判断できません。

洪水を詳しく見たいなら浸水ナビも確認する

河川の洪水リスクをさらに詳しく確認したい場合は「浸水ナビ」を使えます。

地点を指定すると、データが整備されている河川について、

  • どの河川・破堤地点から浸水する可能性があるか
  • 水が到達するまでの時間
  • 浸水深の時間変化
  • どのくらい浸水が続くか

などを確認できます。

例えばハザードマップで「自宅は0.5~3m」と分かっても、それだけでは水がどの方向から来るのか、どれくらいで深くなるのかまでは分かりません。

浸水ナビで対象となる河川なら、洪水が起きたときの時間変化をイメージしやすくなります。

ただし、浸水ナビは掲載されている河川・地域に限られ、内水氾濫を想定したシミュレーションでもありません。

表示されないから水害がないという判断には使いません。

ハザードマップに色がなくても調査を終わらせない

自宅に浸水想定の色が付いていなければ、色が付いている地域より安心材料にはなります。

しかし、「色がない=水害が起こらない」とは限りません。

ハザードマップポータルサイトでも、災害リスク情報が表示されない場所について、

  • 被害の危険性が想定されていない
  • 現時点でデータが未整備

の両方があり得るとされています。

新しい浸水想定区域が今後追加されることもあります。

特に、

  • 周囲より低い場所
  • 過去に浸水した地域
  • 旧河道や低湿地
  • 道路から敷地へ下がっている家

では、地図の色だけで判断せず次の確認へ進みます。

次に地形を見る|昔から水が集まりやすい土地ではないか

現在の住宅地を見るだけでは、その土地がもともとどのような場所だったのか分からないことがあります。

そこで国土地理院の地形分類を確認します。

地形分類では、土地がどのように形成されたのかを調べることができます。

水害を見るときに特に確認したいのが、

  • 旧河道
  • 後背低地・湿地
  • 氾濫平野
  • 海岸平野・三角州
  • 谷底平野
  • 凹地・浅い谷
  • 干拓地

などです。

これらに該当すれば必ず浸水するという意味ではありません。

しかし、水が集まりやすかったり、過去に河川の影響を受けて形成されたりした土地であることを知る材料になります。

旧河道なら「昔そこに川があった」という情報になる

旧河道とは、過去に河川が流れていた跡です。

現在は住宅街になり、道路や建物が並んでいる場所でも、地形分類を見ると旧河道が帯状に残っていることがあります。

国土地理院は、旧河道や後背低地、干拓地、海岸平野・三角州、谷底平野・氾濫平野などを、洪水氾濫や内水氾濫の被害を受けやすい代表的な地形として挙げています。

現在の川から距離があるという理由だけでなく、「その土地自体がどうできたか」も確認します。

後背低地や凹地は周囲とのわずかな高さの差を見る

後背低地は、氾濫平野の中などにある周囲よりわずかに低い土地です。

凹地・浅い谷も、台地などの中で周囲より相対的に低い場所です。

大雨時には、こうしたわずかな高低差でも雨水の集まり方が変わります。

見た目には平坦な住宅地でも、

こちらの道路は冠水する
↓
一本隣の道路は冠水しない

という違いが生じることがあります。

そこで地形分類の次に、自宅周辺の標高と高低差を確認します。

標高は「何メートルか」より周囲との差を見る

地理院地図では、自宅周辺の地点を指定して標高を確認できます。

例えば、

自宅 標高8m
道路の先 標高7m
裏側 標高10m

と分かれば、自宅周辺のおおまかな高低差を考える材料になります。

ただし、「標高10mだから安全」「標高5mだから危険」という判断はできません。

重要なのは周囲との相対的な高さです。

標高5mでも周囲が2mなら高い場所かもしれません。

反対に標高30mでも、周囲が35mで自宅だけ凹地なら、大雨時に水が集まる可能性を考える必要があります。

国土地理院の色別標高図や地形断面図も使うと、広い範囲の中で自宅が高い側なのか低い側なのかを把握しやすくなります。

自宅だけでなく道路から水が流れてくる方向を見る

地図で標高を確認したら、実際に家の周囲も見ます。

見るのは、

  • 道路から敷地へ上がっているか下がっているか
  • 玄関が道路より高いか
  • 駐車場が道路から下がっていないか
  • 裏側の土地が自宅より高くないか
  • 道路が自宅前で低くなっていないか
  • 側溝や排水口がどこにあるか
  • 雨水が流れ込んできそうな坂がないか

といった点です。

水は地図上の住所単位で動くわけではありません。

同じ町内、同じ道路沿いでも、数十センチ程度の土地や入口の高さの違いによって建物への入りやすさは変わります。

自宅の水害リスクを調べるなら、「地域の標高」だけでなく「道路→敷地→玄関→1階床」という順に高さを見る方が実際の被害を考えやすくなります。

過去の浸水履歴も重ねて確認する

想定だけでなく、実際に過去に水が来たことがある地域かも確認します。

自治体によっては、

  • 浸水実績図
  • 過去の水害記録
  • 内水ハザードマップ
  • 過去の豪雨による浸水区域

などを公開しています。

例えば自治体の内水ハザードマップに、過去の豪雨時の浸水実績が記載されている場合があります。

また、国土交通省の不動産情報ライブラリでも、水害・土砂災害・地震災害について過去の「災害履歴」を確認できるようになっています。

住所を検索し、周辺に過去の水害記録がないか確認できます。

浸水履歴がないことを「一度も浸水していない」とは考えない

過去の浸水履歴は重要な情報ですが、表示がないから水害がなかったとは限りません。

自治体の浸水実績図でも、すべての浸水箇所を把握・掲載しているとは限らないと説明している例があります。

不動産情報ライブラリの災害履歴についても、全地域を網羅しているわけではありません。

したがって、

「浸水履歴あり」
→ 実際に過去に被害が発生した重要な材料

ですが、

「浸水履歴なし」
→ 今後も浸水しない

とは判断しません。

ハザードマップ、地形、高低差と組み合わせます。

昔の航空写真も土地の変化を知る材料になる

地理院地図では、現在の地図だけでなく過去の航空写真も確認できます。

現在は住宅地でも、古い写真を見ると、

  • 水田だった
  • 川筋が違った
  • 池や湿地だった
  • 盛土して宅地化された
  • 周囲より低い土地だった

と分かる場合があります。

昔に水田だったから危険、宅地だったから安全という単純な判断はできません。

しかし、現在の地形だけでは分かりにくい土地の成り立ちを確認する補助材料になります。

地形分類と合わせて見ると理解しやすくなります。

4つの情報が重なる場所は水害対策を優先する

自宅の水害リスクは、一つの情報だけで「高い・低い」を決めるより、複数の情報が同じ方向を示しているかを見ると判断しやすくなります。

例えば、

ハザードマップで浸水想定あり
+
旧河道・後背低地などの低地
+
過去に周辺で浸水履歴あり
+
自宅が道路や周囲より低い

という家なら、水害リスクを強く意識する理由が複数重なっています。

反対に、

ハザードマップで浸水想定なし
+
台地など比較的高い地形
+
周辺の浸水履歴が確認できない
+
道路より敷地・床が高い

という家なら、少なくとも確認できた情報の中では水害リスクを示す材料は少なくなります。

ただし、後者でも「絶対に浸水しない」とまでは判断できません。

自宅を調べるならこの順番で確認する

実際に自宅を調べるなら、次の順番で進めます。

まず、ハザードマップポータルサイトへ住所を入力し、洪水・内水・高潮・津波のうち自宅に関係する浸水想定を確認します。

次に、浸水深、浸水継続時間、家屋倒壊等氾濫想定区域を見ます。

その後、地理院地図で地形分類を表示し、旧河道、後背低地、氾濫平野、凹地などに該当しないか確認します。

さらに、自宅と周囲の標高をいくつか確認し、周囲より低い場所になっていないかを見ます。

最後に自治体の浸水実績図や不動産情報ライブラリで過去の水害履歴を確認し、実際に自宅周辺を歩いて道路・敷地・玄関・1階床の高低差を見ます。

この順番で調べれば、

「ハザードマップでは0.5m未満だが、自宅は道路よりさらに低い」

「洪水想定はないが、低地で過去に内水浸水している」

「浸水想定区域には入っているが、自宅は周辺より高い位置にある」

といった、自宅ごとの違いが見えてきます。

水害リスクを調べる目的は「危険地域か安全地域か」という二択を決めることではありません。

どの水害が起こり得て、どこから水が来て、どの程度まで影響しそうかを把握し、自宅で優先すべき備えを決められる状態にすることが大切です。

出典

国土交通省・国土地理院|ハザードマップポータルサイト

国土交通省|洪水浸水想定区域図・洪水ハザードマップ

国土交通省・国土地理院|浸水ナビ

国土地理院|ベクトルタイル「地形分類」 ―身の回りの土地の成り立ちと自然災害リスクがワンクリックで分かります―

国土地理院|自分の家を見る|地理院地図の使い方

国土地理院|標高・住所の確認|地理院地図の使い方

国土交通省|「不動産情報ライブラリ」コンテンツ・機能追加!~「災害履歴」(水害、土砂災害、地震災害)データを追加等しました~

一宮市|浸水実績図(内水ハザードマップ)